『
セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』@フランス映画祭
人間の歴史は戦争の歴史と言っても良い。
抑圧、搾取、金の支配から人々は逃れることはできない。
底辺に置かれる人々を前に、カメラの力で何かを変えたかったセバスチャン・サルガドを追ったドキュメンタリー。
サルガドは戦争・難民・虐殺と言った社会問題を扱ってきたが、いくら発表しても世の中から悲惨な状況は亡くならない。
無力感から“迷子”になる。
迷った末に彼はどこに活路を見つけたのか。
いわば<北風と太陽>の関係だろうか。
北風の手法でうまくいかないなら、もう一つの方法を選ぶのは自然なことにも思える。
概して若くてギラギラしている時と、年を重ねた時の問題の対処の違いとでもいうべきか。
サルガドは泣くことをやめて地球に“
ラブレター”を出すことにした。
カメラマンとしての仕事以外に彼が何を始めたかが如実に物語る。
当初は耳を貸さなかった人々も徐々に結果が出始めると、考えが変わってきたという。
人間が壊した地球を変えるには小さな一歩かもしれないが、確かな一歩に違いない。
写真とサルガドを同じ画面に映し出す合成がユニークでアイディアもの。
トリックを聞けば何ということはないのだが、実に効果的に見える。
テーマはオーソドックスだが、訴求力は高い。
なによりも写真の力は決定的。
監督にはヴェンダースの名前があがっているが、むしろメインは共同監督の息子ジュリアーノ・リベイロ・サルガドの方だろうか。
父は長き不在が続き、帰宅しても会話はあまりなく上手くいってなかったらしい。それも無理はない。
上記のような事情があったのだから…。
ふとしたきっかけで父の仕事の取材に同行することになり、父への理解が深まる。
この映画は息子ジュリアーノの父セバスチャンへの理解への旅でもあったのだろう。
8月1日よりBunkamura ル・シネマなどで公開。
ゲストには監督のヴェンダースじゃなく息子さんの方が来日。
あまりこういう場所は慣れていないのか、緊張している様子がうかがえた。
サインをいただきました。

超シンプル

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