『
チャイルド44 森に消えた子供たち』
2009年版「このミス」で海外部門1位だったトム・ロブ・スミスのミステリー小説の映画化。
珍しいことに原作を読んでいる。(笑)
実は主要キャスティングが発表された時に不安がよぎった。
トム・ハーディ(レオ役)にノオミ・ラパス(ライーサ役)…共に演技派としての実力は評価しているが、外見のイメージが少し違うかな…と。
もっとも小説と映画は別物なのも承知はしているつもりだし、読者のイメージなんて全員違って当然だが…。
'90年代に起きたアンドレイ・チカチーロ事件を'50年代のスターリン独裁政権下に置き換えて語られるミステリーなのだが、ミステリーとしての面白さよりも全体主義の怖ろしさが強烈に描かれている。
(原作小説がロシアで発禁というのもかえって箔をつけている気がする。映画も現時点では未公開らしい…笑)
サブタイトルの「森に消えた子供たち」は同事件のノンフィクション『子供たちは森に消えた』を付け加えたのだろう。
暗号めいた原題だけの方がミステリーっぽいと思うのだが、どうしても説明したいのかな?(苦笑)
ある程度知ってはいても描かれる<理想郷の共産主義国家・ソ連>と現実のギャップに眩暈を覚える。
ボリューム的に原作をそのままやるのはムリとはいえ、全体を俯瞰する重要と思えるプロローグがバッサリカットされているのは疑問。それゆえに唐突に感じる箇所や犯人の奥行きが薄くなったのじゃないだろうか。
少々展開を急ぐ流れも勿体ない。
(それこそ前後編でも良かったのじゃ…?)
トム・ハーディのロシア訛りの英語は多少奇妙であるが、それ以上にことさらロシア人っぽく見せようとする芝居には馴染めなかった。逆に外見の疑問は残るもののノオミ・ラパスはライーサ役になり切っていたように感じた。
脇で支えるネステロフ将軍役のゲイリー・オールドマンはイメージ通り。
ライーサが教師という職業なのは、絶望的な社会にあって未来の希望は子供だということだろうし、結末にもつながる。
エリートだったレオには苦難の連続だが、その犠牲の対価はそれ以上だったと思われる。
色が薄く汚れたような色調には旧ソ連の閉塞感がにじみ出ていた。
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