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2015年04月25日01:48

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『あの日の声を探して』

『あの日の声を探して』

 負の連鎖は止まらない。
戦争を題材に取り上げるとついて回るのは<負の連鎖>。
それは人は常に他人の足を“踏んだこと”より“踏まれたこと”を記憶するからだろうか…。

 1999年から始まった第二次チェチェン紛争。まだ遠くない過去なのに人々の記憶から忘れ去ろうとしている現実を憂慮して制作されたそうだ。
改めてアカデミー賞の効果は大きいと感じる。
ミシェル・アザナヴィシウス監督が『アーティスト』でオスカーを取れなかったら、この企画は実現していたかどうか…。例え撮れたとしても予算が小さくなったり、宣伝が満足でなかったり…。
(戦車が隊列組んで走行とか、大規模な火薬を使ったエフェクトなどなど)
ともかくこうして世に送り出してもらえたことは何より。

 ロシア兵によって両親を殺害され心を閉ざした少年ハジと、いくら訴えても世界を変える力にならず無力感を抱くEU職員キャロル、加えて理不尽な理由で強制入隊させられ次第に心が壊れてゆく音楽好きの青年コーリャの3つの視点で語られるチェチェン紛争の内幕。

 冒頭の家庭用カメラの映像からして臨場感満点、一瞬本物のフッテージかと思った。
なかなか接点が見いだせなかった彼らが、因縁めいた関係を見せるときに戦争の悪循環を思わせる。
印象に残るのは死体の数々。戦争に勝者はないということをつくづく思い知らされる。
今なおウクライナともめているロシアの姿が重なるのは偶然ではないだろう。

 あまりの惨劇に言葉を失った少年ハジが、キャロルと出会い不器用ながら互いに影響を与え合う姿に希望を感じる。
『アーティスト』で無言劇を演出したアザナヴィシウス監督は、ここでも<無言>の演出を見せているのは興味深い。
無力だと思っていたキャロルが自信を深める姿は監督のそれと重なる。

 演技初体験とは思えないアブドゥル・カリム(少年ハジ)の顔つきがとても素晴らしく、本作に求心力を与える。
音楽が救いとなった少年と、音楽を失って道を踏み外す青年に監督の音楽に対する思いを感じるようだった。
全編グルジア(現ジョージア)のロケが効いている。

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