『
インヒアレント・ヴァイス』
珍しく原題をカタカナに変えただけの邦題。
しかし、Inherent Viceとは何だ?今回はもう少し砕いても良かったんじゃ?(笑)
『ザ・マスター』までの長編6作で、世界三大映画祭の監督賞を制覇した巨匠ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)の新作はトマス・ピンチョンの小説『LAヴァイス』の映画化。(原作未読)
かなり“独特な”作風らしいのは映画からもよく伝わる。
舞台は’70年のロサンゼルス。
ヒッピー文化が華やかなころに私立探偵“ドク”が巻き込まれた難事件。
ユニークな人物たちと複数の出来事が交錯し、特殊な空間を作り出す。
探偵ものだが、肝心の謎解きはあまり面白味を感じない。そこを目指す映画じゃないし、いわゆる探偵もののスリリングさはない。そもそもこの探偵は“クサ”で四六時中ラリッていて現実と幻想の境界線が曖昧だ。
なので、
全体には“クサ”をやらされているかのようなユルーイ空気が支配する。いや、やったことはないけど。(笑)
前作に続いて出演のホアキン・フェニックスのほか、ジョシュ・ブローリン、オーウェン・ウィルソン、リース・ウィザースプーン、ベニチオ・デル・トロなど芸達者で個性的なキャスティングが見られる。
全員がちょっとづつ変な人たちで、その意味ではこのキャスティングは<あり>。
とりわけジョシュ・ブローリンの存在感が際立つ。
<パンケーキ>を注文するところや終盤に“妙なもの”を食べまくるシーンとか爆笑もの。
風俗に限らず、日差しやクレジットの色彩まで含めて、当時のヴィンテージ感がよく出ている。
鳴り続けるBGMもまさしく“あの時代”の音。
時折挿入されるブラックユーモアに目が覚める。
ただ、この空気を変えるほどではないか?
思ったのは原作ファンなら、印象は違うのかも…と。
トマス・ピンチョンに詳しくないので、あとで調べたら彼の特質について面白い記述を見つけた。
<エントロピー>を意識するといいのだそうで、エントロピーとは…例えばブラック・コーヒーにミルクをたらすと分離していた物質が混ざり合って一体化するが、逆は不可能という現象のことを指す。
つまり<世界は秩序から無秩序に向かう。逆はありえない>ということだそう。
分かったような分からないような…。(苦笑)
ここで原題の意味を調べる。
『Inherent Vice』とは保険用語で「内在する欠陥」、確か劇中でも説明されていた。
それを映画に当てはめると…。
うっすらと分かったような分からないような…。(笑)
常連だったフィリップ・シーモア・ホフマン(ハマり役?)がキャスティングされていたらどうだったか。
下調べして、もう一度見たら印象は変わるのかな?
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