『
ザ・トライブ』
セリフも字幕も存在しないが、饒舌に手話は語る。
しかし、その意味は動きから推測するのみ。
『アーティスト』という映画があったが、むしろこちらこそ現代風にアレンジされたサイレント映画なのかもしれない。
ミロスラヴ・スラボシュピツキーというウクライナ人監督の長篇デビュー作で、撮影監督のヴァレンチヌ・ヴァシャノヴィチの力が大きな支えになっていると思う。
ウクライナの、とある聾唖の寄宿舎での生活ぶりを描くが、セリフで理解する部分がないため余計に画面を凝視せざるを得ない。
ワンシーンワンカットで長回しの多用、しかし動きがないかといえば逆で、人がどんどん歩く。
それにつれてカメラも動くので実にアクティヴな映画である。
トライブとは『族』のような意味で、この寄宿舎における不良グループを指し、そこには世界のどの学校や組織にも見られる普遍的な問題が見られる。
傍らには健常者らしき人物も映るが、あえて言葉を発するシーンを排除している。
だが、セリフはないが音はある。劇のための伴奏曲こそないものの足音や物音、肉体がぶつかり合う音などは伝わる。
しかし聾唖の彼らには伝わらない…、それ故に悲劇が起きる。
学生たちの愚かな行動は若く未熟なためでもあるが、これが人生に大切な<学びの場>で起きているのが何とも皮肉でさえある。
本当の聾唖者からキャスティングされたというヒロイン役のヤナ・ノヴィコヴァが一際目を引く。全身から解き放たれた感情に圧倒される。ロングショットが多いのも“
全身で会話”しているからだろう。
聾唖の意図は
“声なき者の(弱者の)声”に耳を傾けろということなのか。
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カンヌ国際映画祭で批評家週間グランプリなど3賞を受賞した時に「字幕もセリフもない」と聞いていたので、もしも
日本公開されなくとも輸入盤でみられるんじゃないかと考えていた。
現実には無事公開。…というか日本のかなり早い公開に驚く。
現時点で一般公開は本国ウクライナとオランダ・フランス・ギリシャに東欧・北欧圏。
非欧州圏では、どうやら日本が最初みたい。
英米ですら公開前だというのはなんかウレシイな。♪(いつも遅くてイライラするので)
しかし字幕はなかったが、
余計な処理(笑)があったので、やはり海外盤が出たら購入しようかなと計画している。
余談ながら、前席に聾唖と思える若い日本女性二人が鑑賞していた。
劇中の手話について、きちんとした会話なのか聞いてみたい気もしたが、コミュニケーションが難しいので断念。(苦笑)
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