『
マジック・イン・ムーンライト』
前作『ブルージャスミン』ではシニカルな現実で夢見る少女(?)を突き飛ばしたW・アレンだが、今度は一転して甘い甘い綿菓子のようなロマコメを送り出してきた。
基本路線はいつものアレン映画で、マシンガンのように次々飛び出す会話を楽しむもの。
舞台は『ミッドナイト・イン・パリ』を彷彿とさせる1920年代の南フランス、天才マジシャン<スタン・リー>が胡散臭い占い師<ソフィ>のウソを見抜いて、とっちめてやろうと乗り出すのだが…。
占い師のトリック自体は問題ではない。そもそもW・アレンはそういう作家じゃないと思うし。
皮肉屋の天才マジシャンとワケありの占い師の対立は
ロジックとロマンチックのせめぎ合いで成り立つ。
理詰めで解決したはずが、人生は理屈通りにはならないよというアレン翁の優しい言葉が聞こえてくるようだ。皮肉屋のスタン・リーが普段ステージで中国人に扮していて英国人という設定は歴史を踏まえたアレン流の皮肉なのか?(笑)
おそらくW・アレンのフィルモグラフィーの中では<箸休め>的な位置づけの作品だと思う。
それくらいユルめの作品なので、観客もそれなりに身構えていた方がいいかもしれない。
まあ、タネも仕掛けもなくともこれくらいの映画はアレンには朝飯前だという点では立派だと思うけど…。
記憶は定かではないが、理論的な個所のBGMはクラシックで、ロマンチックなシーンではジャズだった気がする。ジャズ好きのアレンらしい趣向が透けて見える演出。
いつものように暖色系の色彩と景観が美しい。
オスカー俳優のコリン・ファースも堅物を好演しているが、やはり輝くのはエマ・ストーン。
今がキャリアハイなのは間違いあるまい。
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