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2015年03月19日00:57

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『恐怖分子』(デジタル・リマスター)

『恐怖分子』(デジタル・リマスター)

 エドワード・ヤン監督の長編3作目が19年ぶりの公開。
ほぼ30年前の映画で初見だが、難解に思える内容は今の方が理解されやすいかもしれない。

 ともかく余分な説明がない。その少ないセリフに代わって風や光が饒舌に語る。
冒頭、閑静な住宅街で突如銃撃戦が始まる。
それをカメラに収める青年…、ただならぬ導入部から引き込まれる。

 出会う事のなかった人々が一本のいたずら電話から蠢きだす。
それとともに表面的に押さえつけらえれていた不安が一挙に噴出する。
家庭の不和、競争社会、青少年の非行、暴力など…不穏な空気が充満し始める。
我々は、一見平和に見えても突如予期せぬ誰かから<恐怖>に見舞われる社会に生きているのだ。

 現代社会ではテロリズムや盗撮・ストーカー、通り魔などが紙面をにぎわすことも珍しくない。
加害者と被害者の間に深いつながりはなく不条理で不可解。
もしも、難解で理解しづらい作品だったとしたら、映画に描かれる80年代にはまだどこか遠い未来だったのかもしれない。
その意味では(悲しいかな、)時代がようやく追いついたと言えるのかも…。

 つながりのない人々の群像劇だが、全体で一つの『画』を見せる。
それは少女シューアンを引き延ばして分割プリントされた写真に象徴されているのではないか。
遠目で見れば一つの映像だが、ピースの一枚ずつでは意味をなさない。
しかも崩すのはいとも簡単…とでも言いたげだ。

 どこまでが現実で、どこからが幻想なのかさえわからない。
全てが幻かもしれない世界で蒸し暑い台北の空気と日差しが良く捉えられていた。
“フレーム”が重要な演出になっていて、冒頭とラストが呼応するのも見事。

フォト


 実を言うとエドワード・ヤンは(リアルタイムだが、)『ヤンヤン 夏の想い出』しか見たことがない。
願わくば、これを機会に『牯嶺街少年殺人事件』も再上映されるといいのだが…。
(3時間版でも4時間版でもいいから)
上映しないと不満分子になるぞ。(笑)
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