『
誘拐の掟』
近年、すっかりアクション俳優となったリーアム・ニーソン。
その彼がローレンス・ブロックの人気ミステリー小説“マット・スカダー”シリーズに挑戦。
このシリーズは未読だが、とりわけ
もっとも悲惨でダークだという『獣たちの墓』の映画化。
猟奇的犯行をいとわない誘拐犯の様子は『SEVEN』などにも通じるか。
元刑事のマットはアル中で終始酔いどれなのが魅力の一端(?)らしいのだが、本作では酒での失態から断酒している。(酔いどれ演技は中々の見もの)
主な舞台となる1999年というのはPCの2000年問題直前の時期で、その様子が織り込まれているのは懐かしくさえある。
この作品が重苦しいのは、勿論事件の内容が猟奇的だということもあるが、むしろ
誘拐された被害者サイドにこそ特殊な事情がある。
どちらに転んでもスッキリせず<正義はどこに?>といいたくなるあたりが陰気くさくしているのじゃないか。
事件に係わらず、当事者同士に好き勝手やらせたらいいかとも思うが、捕まった妻や娘には罪はない。そこにマットは彼なりの光を見つける。
一方で過去への贖罪の意味もあるだろう。なぜ彼が警察を辞めざるを得なかったのか…。
きっと立ち直るためにも必要だったのだろうが、女子供のピンチに立ち上がる姿はイヤでも『96時間』のブライアン・ミルズを思い起こさせる。
(邦題が小説と違うのは、たぶんに『96時間』を意識してのことだろう。やはりヒット作の存在は大きい。)
事件の捜査中に出会う黒人少年とのやり取りは、すさんだ話の中で少ない希望の一つ。
もっとも本作のマットは『96時間』の
ブライアンほど無双じゃない。
正直、かなりピンチの連続である。
だが、弱く脆く人間臭いところが逆に魅力的なのかも…。
音楽も含め後味のビターさともどもドヨーンと沈むが、似たような役柄を演じても違いを見せるリーアム・ニーソンはさすが演技派。
“リハビリの心得”と物語進行のシンクロは上手い演出。
5月30日より公開
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