『
さいはてにて 〜やさしい香りと待ちながら〜』
見事なまでの女性映画。
コーヒー店を営むヒロインはじめ、近所のシングルマザー、その娘と<喪失感を抱える女性>たち三人が織りなすドラマ。
そのためか男性たちは象徴的にしか登場しない。
ドラマが起きるのは常に女性である。
消息を絶った父を待つために舟小屋を改造したコーヒー店を営む吉田岬(永作博美)。
向かいの古びた民宿にはシングルマザーとして二人の子供を育てる山崎絵里子(佐々木希)が住む。奥能登のさいはての地で価値観の違う二人が出会い、本当に大切な自分の宝物を見つけてゆく。
<ヨダカ珈琲店>のネーミングの由来は予想通りだが、コーヒー店の外灯はけっして店のためだけではない。この辺の伏線はありがちだが、うまく織り込まれていた。
ただ、疑問もなくはない。
中盤まで丁寧に描く割にラストが唐突に感じる。
借金を抱えていたはずなのに生活費に説得力が乏しい。あの規模の店で本当に?
あと、小さなことだが部活の合宿の“メシ”はそれじゃないでしょ?(笑)
いまや日本を代表する演技派の一人である永作博美の好演も光るが、ダメなシングルマザー役の佐々木希も適材適所を感じさせ、娘<有紗>役の桜田ひよりのエモーショナルな芝居も良い。
能登の美しい風景と波の音が作品に情緒を与えている。
監督は『牯嶺街少年殺人事件』でスクリーンデビューを飾ったチアン・ショウチョン。
エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェンといった二人の名匠の薫陶を受けただけあり、堂々たる作りには好感が持てる。
言葉の壁を越えての演出は苦労もあったのではないかと思うが、それだけに映像は嘘をつかない。
「
ワンシーン、ワンカットで固定撮影」が目標だったという撮影へのこだわりも作品にあっていたと思う。
どこかヒロインが再会に首を長くして待っている姿は、チアン・ショウチョン監督の師匠エドワード・ヤンへの想いのようにも感じてしまった。
(『牯嶺街少年殺人事件』の再上映やDVD化は権利関係で難しいとも聞くが何とかならないものか。是非とも一度は見てみたい!)
余談ですが、少し前にヤフオクでLDが出品されていて(VHSとLDではソフト化されている)、どうしようかと悩んだけど
最低入札金額が3万円(!)だったのであきらめました。その後、誰かが落札したようですが…、ちなみにLDの画質は悪いことでも有名。是非ともリマスターで見たいな〜。
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