「お代は見てのお帰りだよ!」
こういう売り文句を聞いたこともあろう。
だが世の中は定価ばかりで、こうした試みは中々見られない。
映画でも本でも<コスパ>で判断する人もいる。
その気持ちは多少なりともわからなくはない。
「この映画で1800円はあり得ない」とか、「サービスデーだったけど正規料金でも損はない」とかね。
有名俳優や名監督でなかったり、主要映画祭で華々しい“付加価値”がないために宣伝材料に乏しく苦戦する良作も埋もれていることを知っている。
配給会社はあの手この手で知恵を絞るが、有料試写会というのも<一つの策>ではあるか?
買付の時に「これだ!」と思ったらしいが、強調材料がないという。
そこで「お代は見てのお帰り。品質に自信あります。」というイベントを思いついたらしい。
(枕が長い)笑
『君が生きた証』という映画で、すでに1/30、2/6にあり、残る一回は2/13の夜にヒューマントラスト有楽町で催される。
ちなみに初回と二回目はともに(わずか60席なのに)満席にはならなかった。
終了時間が遅いのがネックだが、近隣の方は駆けつけてみるのもいいかも。
(上映後に簡単なアンケートを書かされます。いくら払うかという額とその根拠。)
当日17時から受け付け開始で、最低入場料金は1円から…。
1円の価値の映画だと思えば、1円でOKです。(苦笑)
『
君が生きた証』
聴かせる映画。
ミュージシャンを描く映画はやはり音楽そのものに魅力がないとつまらない。
その意味では音楽が主役ともいえるほど、とても素敵なサウンドが詰まった作品になっていると思う。
突然の乱射事件で息子を亡くした父親サムが、息子ジョシュの残したデモCDの曲を演奏していこうとする。
そして偶然出会った息子と同世代の子供たちとバンドを組んでいく。
息子の曲は人気を博し、大きなコンテストに出ようとバンド仲間に誘われるがサムは戸惑う。
誰も息子が書いた曲だということを知らない…。
個性派俳優ウィリアム・H・メイシーの初監督作品。
ある時点まで展開を待つもどかしさはあるが、スイッチが入ってからは身を乗り出してみてしまう。
いわば
<視点を変える>ことの大切さではないか。
我々はとかく自分の都合で見てしまいがち。そこに気がつくと作者の真意がわかるのではないか。
息子を亡くし、現実と向き合えない父親は離婚してボート生活を始める。
それは
原題Rudderlessが示すように<どこにも行けず、漂う>ことの象徴として描かれる。
ズボラな父親は船上で用を足すのだが、身勝手もいいところ。
傍から見たら迷惑以外の何物でもない。
でも、この<視点>の切り替えしがこの作品にはとても大切。
こういう些細な<視点>の違いが積み重ねられてゆく。
何も息子のことを知らなかった父親が息子の作った曲に寄り添いながら心の旅を始めるのだが、歌詞に注目してほしい。いったい何を息子は考えていたのか、世界をどう感じていたのか。
終盤に歌われた時にはきっと違う<視点>で聞こえることだろう。
父親サム役をビリー・クラダップがギターも歌も吹き替えなしで、バンド仲間のクエンティン(アントン・イェルチン)と聴かせる。心に染み入るいい歌声。
息子の恋人だったケイト(セレーナ・ゴメス)の関係をもう少し見たかった気もした。
2月21日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテなど順次公開
いい映画だとは思いますが、口コミで『チョコレートドーナツ』のような奇跡を起こせるかは微妙かな?
ちなみに私がいくら払ったかは内緒です。(笑)
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