『
悪童日記』
有名原作の映像化はそれぞれのファンが思い描くイメージがあるため難しい側面はあろう。
その意味ではまっさらな頭で拝見できるのはありがたい。(苦笑)
暗い時代の暗い家族による暗い話なのだが、コミカルなイラストやスクラップブック的日記の遊び心もあり、悲壮感が緩和されている。
第二次世界大戦末期を舞台に、大人たちの身勝手さに翻弄された双子の悲劇と絆が描かれ、直接的な戦争シーンなどは控えめだが、日常から反戦の意図は汲み取れる。
生き抜くために<手段を択ばない>ことを正当化する双子の少年。
状況を思えばあながち否定も出来ないが、人間として大切なものを置き忘れてしまう戦争の恐ろしさを神の無力さと交えてブラックに語る。
原作を書いたハンガリーの亡命作家アゴタ・クリストフの実体験が想像される物語で、ある種の寓話になってるのだろう。
祖母の家に預けられた双子は痛みに耐える訓練をするが、それは肉体にとどまらず心まで不感症にしなければ生き延びられない厳しさが何ともやるせない。
戦争の残虐さを思わせる昆虫の標本に身の毛がよだつ。
これが映画デビューとなる強い目つきの双子の少年を演じた子役たち(アンドラーシュ&ラースロー・ジェーマント)もいいが、なにより
“魔女”と呼ばれる厳しい祖母を演じたピロシェカ・モルナールが素晴らしい。子供心に「従うしかない」という意識を植え付けるには最高のキャスティング。
ネガティブな出来事の中にあって、少年の立の成長と自立が救い。
辛い時代に一人では生きられなかったかもしれないが、二人なら生き延びられる…そんな教えにも感じた。
次のステップに進むラストは続編(実際に原作は3部作という)を匂わす。
ただ、正直どこか物足りない…。
例えて言えば素晴らしい原作と適切なキャストやセットなど良い材料を用意して型枠に流し込んだような印象…。
(口悪日記ですかね?…笑)
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