『
大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』
いくら恋い焦がれた相手でもじらしにじらされて16年も待つなんて中々できないこと。
そこはフランス・アルプス山脈に立つ厳格な修道院グランド・シャルトルーズ。
ドイツ人のフィリップ・グレーニング監督に撮影許可が下りたのは16年後だという。
撮影時の照明禁止は予想つくが、
完成作品にナレーションも音楽もつけてはならないという厳格さには驚く。
オマケに一人だけしか立ち入ることが許されないとなれば、当然監督として出来ることは撮影に力を注ぐこととなる。
その極めて高い集中力と計算されたアングルに魅せられる。
広角、望遠、ロングショットにクローズアップ…半年にわたる撮影を余すところなく伝える。
筋らしいものは何もなく、日々の修道院の生活が描写されるだけ。
退屈するかと思いきや意外にも引き込まれる。
おそらくそれは彼らの生活が“本物”であるからであろうか。
そこには“雑用”はなく、すべてが信仰の象徴である“必要”だからなのではないか。
祈りをささげる、薪を割る、鐘を鳴らす、食事をとる…
彼らの語る沈黙に耳を傾ける。
存外目を引いたのは厳しい修行生活の中にもささやかな楽しみがあること。
飼っているのか、勝手に住み込んだのか知らないが院内に紛れ込んだ猫に和む。
欧州旅行…とりわけ古城や寺院めぐりが好きな人なら必見だろう。
…とともに我が身を振り返り、でっぷりとついた“脂肪”も感じてしまう。
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