『
哀悼の石』
銀座メゾンエルメスにあるル・ステュディオに再び…。
ソフト化もされておらず、まともに公開されたのかも定かでないギリシャ映画『哀悼の石』を見るため。
(ちなみに、今月の後半はまだ空きがあるようです。)
かつて人々の光となったアテネに近いエレウシス(現エレフシナ)、古代ギリシャにおいては豊穣の女神デメテルの聖域とされていた。
そんな街も全てが近代化の波にのまれて、工場地帯へと様変わりを遂げる。
ギリシャ出身のフィリポス・クチャフティス監督がかつての遺産が無残に破壊される中で進む発掘調査や街の人々の様子をつぶさに映し出すドキュメンタリー。
古代ギリシャに興味のない人にはどこまで響くのかわからないが、日本とて由緒ある建築物や景観が近代化の名の下で失われゆく現実は他人事ではないだろう。
滅びゆく古の文化遺産と現在の目先の金の両天秤で、どちらに価値があるのか…。
もとろん簡単にどちらが良いのかという選択はしにくいが、少なくとも
一度壊された遺跡はもう二度と元に姿には戻らない。
そこに暮らす人々の血には古の遺伝子が受け継がれているというのに、景観だけ様変わりしてゆくギャップ。
その地には彫像にまでなった有名な詩人がいた。しかし、彫像は施政者の都合だけで日の当たらない場所に移転させられる始末。彫像は単なる<モノ>ではなく、その街のアイデンティティそのものではないのか。自身が生計を営めるのも過去の積み重ねがあってのこと。そこにまるで敬意を払わない扱いに次第に腹が立ってくる。
そんな中で周囲から「気が狂ってる」といわれるホームレスの男性が登場。
古代ギリシャから時空を超えて来たかのような風貌で、古代の石をひたすら拾い集める。
過去を保存するのは気でも狂わないとできないとでもいうのか。
再び、この地に光が差す時は来るのだろうか。
こういっては矛盾するようだが、
ギリシャには悲劇がよく似合う。
(※ 哀悼の石とは女神デメテルが、冥界の神ハデスにさらわれた娘ペルセポネの帰りを待つ間に座っていた石の名前。)
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