『
イヴ・サンローラン』
シャネル、ディオールなどと並びファッションに詳しくない人でも知っている有名ファッション・デザイナーの
イヴ・サンローラン。
彼の栄光と挫折の足跡を<親友>ピエール・ベルジェの視点で描かれた伝記映画。
天才肌で若くしてファッションの世界に踏み出したイヴ・サンローランに関心ある人には周知の事実のことなのだろうが、ディオールとのかかわり合いや徴兵後の挫折など興味深い。
あの時代、同性愛者が差別されていたのは想像に難くない。
デザインの才は非凡でも、他のことには欠点だらけというのは人間らしくて良い。
激動の時代を生きてきたサンローランらしく、描かれる社会背景はファッションに興味がなくとも楽しめよう。
ドラッグ使用は芸術家たちには珍しくもないだろうが、それは彼の繊細さと徴兵での苦い体験も影響しているのだろうか。
劇中にある日本関連の描写のあたりは興味がわく点の一つじゃないかと思うが、実際にモデルとしても日本人(川原亜矢子自身が出演)を起用していた。
今ではアジア人も黒人もごく当たり前にパリコレなどのファッションショーで見られるが、
初めてランウェイに有色人種をモデルとして使ったのは彼だという話で、きっと自分自身が差別を受けた想いが反映されているに違いない。
個人的にはこの辺を描いて欲しかった気もするが、“恋愛関係”などコミュニケーションの方に比重が高かったように思える。
メガネを指で押さえ上げる癖を見せるサンローランを演じたピエール・ニネは当人以上に繊細さを感じさせて好演に思えるが、パートナーであったベルジェにもう少し繊細さがあるとラストカットはさらに生きたのではないか…などとも感じた。
最もそこまで繊細だったら“お相手”は務まらなかったかもしれないけど。(笑)
フェイドアウトするキャストの行方が気がかりだったり表層的な描写に終始している印象も否めないが、
当時のファッションがスコ―プサイズいっぱいに広がるのはブランド好きにはたまらない魅力ではないか。
(劇中で使用されるのは財団が貸し出した本物の衣装だという話。)
ログインしてコメントを確認・投稿する