『
物語る私たち』
若くして亡くなった人物に、謎めいた秘密。
なにやら興味をそそられる題材。
女優であり、近年は監督業もこなすサラ・ポーリー。
母親ダイアン・ポーリーは元女優だったが、幼くして母を亡くしたサラは母のことをよく知らない。そこで、母ダイアンをよく知る友人や身内らの証言から人物像を掘り起こしてゆこうというもの。
しかし、そこには思わぬ自身の出生の秘密が隠されていた…。
兄弟が多くいると冗談半分で少し“毛色の違う”兄弟に向かって<親が違うのでは?>などと茶化すこともあるだろうが、これは冗談が冗談ではなくなった<母の愛への旅>に出るドキュメンタリー映画。
座して悩むよりは積極的に明快な答えを得ようとするのはサラの性格を表している気がする。
父もかつては芸術的な仕事をしていただけあり、過去のホームビデオなどの資料が多く残されているのは家庭の内情を物語る。興味深いのは各人が語る断片を重ね合わせても必ずしも実態と一致しないということ。
渦中の人間が“藪の中”を手繰り寄せるのは時に困惑する瞬間もあろうが、<探偵>サラは冷静に対処する。
内心穏やかではないと思うのだが、バランスを失わないのは大したもの。
ことがデリケートな部分(場合によっては恥をさらすことになりかねない)に踏み込むだけによくぞ決意したというべきか。
しかしもっとも大切なのは真実を知った後の<家族>との接し方ではないか。
ポーリー家の人々の暖かさには思わずグッとくる。
これは愛を疑った物語ではなく、より一層愛を深めるための物語。
サラの出演作に『死ぬまでにしたい10のこと』があるが、この企画こそサラ個人のリストの一つだったのかもしれない。
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