『サムソンとデリラ』@
三大映画祭週間2014
幾度となく映画やオペラなどに取り上げられる古典『サムソンとデリラ』。
オーストラリア先住民のアボリジニの生活に置き換えて見せているが、かなり独創的になっていると思う。
海から離れたオーストラリアの小さな貧しい先住民コミュニティーに暮らすサムソンやデリラの家族。
デリラを好きなサムソンはちょっかいを出してばかり。
アボリジニの間ではガソリンを吸引し酩酊を楽しむ<
ペトロールスニッフィング>が社会問題になっていると聞くが、まさにサムソンの日常がそれとラジオから流れるポップ音楽への現実逃避。
一方のデリラは祖母の描くアボリジナル・アートの手伝いをして生活を営む。
そんな退屈な日々に嫌気がさしたのか家庭内でトラブルを起こしたサムソンは、祖母が他界し居場所をなくしたデリラと街へ逃避行。
しかし、街に行っても彼らの居場所は簡単に見つからない…。
アボリジニの風習なのか、描かれるコミュニティーのルールなどは興味深い。
あまり表だって報道されない彼らの生活の実態が描かれる。
カンガルーを食料品とみるあたりの感覚はちょっと想像がつかない。(笑)
生き場所のない若者のイライラと、差別からくる格差社会への問題提起はよくわかる。
都会に出て散々な目に合うデリラにとって一番辛いのは絵に対する扱いだろうか。
画廊での祖母の絵の評価を知った時の不平等感は神を憎んだとしても不思議じゃない。
街へ出た二人の行動は決して褒められる事ではないが、<それ以前の問題>を社会全体で考えないのが問題だということなのだろうか。
世の中は不平等である、されど愛の力は誰しも変わらないという力強さがキャストの顔つきとともに感じられる。
ワーウィック・ソーントン監督は後に『ソウルガールズ』で撮影監督を務めただけあり、映像が見事。
2009年カンヌ国際映画祭、カメラ・ドール受賞
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