今年もヒューマントラストの企画で、一般上映から漏れたカンヌ・ベネチア・ベルリンの
三大映画祭で評価された作品をまとめて上映。
今年度は数が足りなかったのか、かつての名作も引っ張り出してきた。
とりあえず新作中心にいくつか見てみたい。
(今月の一般公開映画で見たいのが少ないってのもあるんだけど)
『ヴィクとフロ熊に会う』
過去の過ちを断ち切って、新しい人生を歩みたい。
まっとうな第二の人生を望むヴィクトリア(ヴィク)は60代に差し掛かった元囚人。獄中で知り合った一世代若い“恋人”フロレンス(フロ)と田舎で慎ましやかな生活を送ろうとするが、思わぬ過去のしがらみが暗い影を落とす。
ベルリン映画祭でアルフレッド・バウアー賞受賞。近年受賞作には『熱波』や『菖蒲』などがあり、映画芸術に「新たな視点」をもたらした作品という賞らしい。
本作をして「黒でも、白でもなく、ドラマですらない」とドゥニ・コテ監督は語ったらしいが、なるほどスッキリする読後感はない。
そもそもヴィクとフロがどんな犯罪をしてきたのかといったことを含めキャラクターの背景がハッキリしない。
他の人の口や態度からうっすらと浮かび上がる程度。
前半は保護司との関係や女性二人の日常を丁寧に描く<マイノリティーの恋愛モノ>かと思いきや、後半はある登場人物のおかげで全く毛色が変わってしまう。
不穏なリズムを刻む音楽にも胸騒ぎを覚えるが、タイトルの<熊>がこういう形で登場とは思いもよらない。(邦題は原題の直訳)
間違っても<森の中で熊さんと輪になって踊る>ような子供向け童話のタイトルじゃないのだよ。
きっとお話を読ませる目的ではないのかも。
少なくとも監督は整合性を持たせることには興味がなさそうに感じた。
ヴィクとフロの年齢差が将来への希望の差につながって行くようでもあり、そうした小さな齟齬の積み重ねが大きな亀裂につながってゆく…。
しかしそこから飛躍する結末を何と受け取れば?
本望とも不幸ともとれる不思議な余韻と退色した寒々しい質感が印象に残る。
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