『
やさしい本泥棒』
当初は今年の6月頃に公開予定(IMDbにも記述がある)だったらしいが、どうも怪しくなってきた。
公式サイトには当年公開とあるけれど…。(汗)
さて、<読書離れ>が嘆かれて久しい。
かくいう私も雑誌やコミック以外というと年間で指折り数えるほど。
書物で得た知識は誰のためでもなく身に着けた人のモノで、知らない世界を知る手がかりにもなる。
もちろん間接体験よりも直接体験の方が(大半は)いいだろうが、テレビやラジオ・インターネットがなく自由が抑圧されている時代には本は貴重な“世界への入り口”。
1938年、次なる大戦の軍靴が聞こえそうな頃の話。
わけあって母と別れ、フーバーマン家に里子に出されるリーゼル(ソフィー・ネリッセ)。
優しい養父ハンス(ジェフリー・ラッシュ)と厳しそうな養母ローザ(エミリー・ワトソン)、慎ましくもあたたかな家庭で読書の喜びを知るリーゼル。
彼女に仄かな思いを寄せる隣家のルディとも仲の良いところを感じさせるのだが、そんな折フーバーマン家に<招かれざる客>の到来…。さらに時代は暗闇の中へと突入…。
マークース・ズーサック原作の小説「本泥棒」を基にブライアン・パーシヴァル監督が映画化。
ナチスに限らず独裁国家は統治に都合の悪いものを手っ取り早く隠してしまう。
貴重な人類の財産をいともたやすく焚書扱い。
それとは対照的にまともに字の読めない少女が本にひかれてゆく姿が描かれる。
そこに広がるのは人生の無限の可能性。
<ナチスの書籍>の扱い方がアイディアものだと思った。
ある意味象徴的つかわれ方で、
新しい時代を<上書き>するのだ。
人類が最も醜い時代でも人は美しく生きることができるのを追求したということだが、飢えていた時代に、腹の足しにならない“本”が食事では満たせない心を満たすところはグッとくるのじゃないかな。
庶民には中々書物が手に入らない時代と社会情勢なのでやむなくヒロインは<拝借>するのだが、代金を支払わない読者を今回だけは大目に見てあげて欲しい。(笑)
知性と好奇心が宿る少女リーゼルを『ぼくたちのムッシュ・ラザール』で注目を浴びたソフィー・ネリッセが好演。キャリアの浅い彼女をジェフリー・ラッシュ、エミリー・ワトソンといった実力派ががっちり支える。
美術や衣装が見事で、タイムスリップするようである。
ゴールデン・グローブ賞にノミネートされたジョン・ウィリアムズの音楽もそっとやさしく包み込む。
韓国盤、フランス盤BDに日本語収録。
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