『
ハミングバード』
また一人、将来性を感じさせる監督が誕生した。
『イースタン・プロミス』などの脚本を手がけたスティーヴン・ナイト。
アベレージ的なアクション映画が多いジェイソン・ステイサムに輝きを与える。
ロンドンを舞台に、格差社会と兵士の心の闇といった社会問題を根底に感じさせる硬派なエンタメ。
ロンドンといえば世界の中でも有数な監視カメラ社会。
冒頭の偵察機の映像は通称「ハミングバード」と呼ばれるものの画像であり、俯瞰で見つめることからも“神の視点”を思わせ、どこまでも逃げられない監視の怖さを感じさせる。
か弱い少女イザベルと身を寄せ合う元特殊部隊軍人ジョゼフ・スミス(ジェイソン・ステイサム)という設定が『レオン』を思わせる瞬間もあるが、そうではないだろう。
決してスミスは正義の人ではない。生きるためなら手段はいとわない輩で尊敬できるほどではないのだが、彼なりのプライドがある。共感できるのはその一点。
スミスが最低限の生存権すら奪おうとする社会に対してのささやかな抵抗に溜飲を下げる。
よくスミスは仮名としても使われる名前だが、おそらく監督が命名した理由は<名もなき一般市民>の代表的意味合いもあるのではないか。
ポーランド出身のメガネっ子修道女(アガタ・ブゼク)が次第に洗練されて、女性としての輝きを取り戻してゆく過程が萌える。
彼女の秘密と夢が語られた時に奥行きが生まれ、彼女にシンクロする。
惜しむらくはヒロイン像を一つにまとめきれなかった点や上映時間の長さに対し少し詰め込みすぎな点。
しかし、これまでアクション映画は好きでも
「いつものステイサム映画でしょ」と敬遠していた人にこそススメたい一本。
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