フランス映画祭2014、4日目
『スザンヌ』
母は早くに他界したが、父と仲睦まじく暮らす姉妹がいる。
ただ、ぽっかり空いた喪失感を埋められないためか姉のスザンヌは安易な方向に流される。
人は誰しも支えが欲しいとはいえ、不良少年と早すぎる出産や無責任な失踪、果ては犯罪にまで手を染めることは褒められるものではない。一人の女性が転落人生からいかに立ち直れるかを俊英の若手女性監督が描く。
おそらく大半の人は
<身から出た錆>のスザンヌには共感しにくいと思う。
むしろ、振り回されながらも献身的に支える家族…特に健気な妹マリアに心は動かされるのじゃないか?
でも…だからこそ肝心な時に寄り添う身近な存在が大切なのだろう。
キャストが魅力的。
『俳優探偵ジャン』でコミカルな“ダメ俳優”を演じたフランソワ・ダミアンが一転子育てに悩むシリアスな父親像に、またスザンヌにはケシシュ作品で萌芽を見せたというサラ・フォレスティエが扮する。
妹マリアには『水の中のつぼみ』のアデル・エネルが演じてセザール賞助演女優賞受賞。
フランス映画にしてはアメリカっぽい匂いがして、ハリウッドでリメイクしやすそうな題材に思える。
今年の鑑賞作品で本作だけゲストなし。
監督も主演も女性だけに来日すれば華やかだったろうに…。(ちょっと残念)
『
バツイチは恋のはじまり』
映画祭では英語題『Fly Me to the Moon』というロマンチックなタイトルだったが、予想通り(?)一般公開の邦題は<いかにも>なタイトルになったなぁ。(苦笑)
ちなみにフランス原題は『Un Plan Parfait』で計画実行とかそんなところか。
『最強のふたり』の製作チームが『ハートブレイカー』のパスカル・ショメイユ監督と組んで贈るロマコメ。かなりベタな笑いもあるが、確かに笑える。
長く付き合っている人がいるのに、ジンクスを信じて結婚に進めないイザベル。
そのジンクスとは<必ず最初の結婚は失敗する家系>なのだという。
何をバカバカしいと思うのは外野の意見で、ナーバスになっている当人にはシリアスな問題なのだろう。
そこで回避する名案が浮かび、結婚式の前にミッションを実行しようとする。それがケッサクで、「
本命以外の誰かと結婚&離婚してバツイチになろう」というもの。
はい、なんとなく展開は読めましたね。(笑)
ところがアクシデントが起きて突如アドリブで敢行しなくてはならなくなり、場当たり的に選んでしまったターゲットがよりによって<
世界一能天気ポジティブ男>。
ケニア、モスクワを舞台に繰り広げられえる顛末が見せ場で、ケニアの“大自然”には目を見張る。
異国でのドタバタはロケーションの面白味だけじゃなく、コミュニケーションがうまく取れない…つまり互いを理解しえない異質の二人というものが重ねあわされているように思う。
結局のところ、ジンクスを気にするのは裏側にある自信のなさや不安の表れであり、ネガティブな発想しか持ちえなかった人間がポジティブ人間に感化されて変わったということが大切なメッセージなんだろう。
コメディアンとして名が通ったダニー・ブーンの職人芸はもちろん、マジで可愛いダイアン・クルーガーのコメディエンヌっぷりが楽しめる。
エンドロールのNG集も必見!(笑)
9月20日よりヒューマントラスト有楽町他で公開予定。
今年のフランス映画祭で観客賞を受賞したのもうなずける。
トークショーでダニー・ブーン登壇。
スマートでしゃれた会話とどこまでが本気かわからない冗談の連発で会場を沸かせていた。
最後の一言に場内爆笑の渦。(本編を見てないとわからない…笑)
さすがエンターテイナー!
ケニア・ロケの話で、泊まったロッジは屋外にシャワーがあり、「この辺は豹が出るから気をつけてね」と言われていたのだが、ある晩ダイアン・クルーガーがシャワーを浴びようと向かったら<先客>がいたそうです。(どうも水を飲みに来ていたのでは…という話)
豹はダイアン・クルーガーの裸には興味がなかったみたい…と笑わせていた。
個人的に面白かった余談は『ミックマック』の裏話。
劇中でダニー・ブーンの泣くシーンがあったのだが、ジャン=ピエール・ジュネ監督は「涙を流すのはそちらの頬じゃなく反対側だ!」という指示があったそうです。(笑)いかにもジュネらしいエピソード!?(ソフトを見るときに探してみるか)
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