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2014年06月16日23:54

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『ノア 約束の舟』

『ノア 約束の舟』

 日本人にはとっつきにくい(というか正直分かりにくい)題材だが、ド派手なCGによる洪水シーンなど単純にスペクタクル・ファンタジー映画として楽しめる。
旧約聖書を基にした叙事詩映画としては上等の部類かもしれない。

 『ブラック・スワン』や『レクイエム・フォー・ドリーム』といったトラウマ映画にたけたダーレン・アロノフスキー監督だけあり、使命を受けたノアの葛藤を内面に封じ込め狂気にかられてゆくあたりに<らしさ>を感じる。
<教え>を抽出した聖書を具体的なドラマに落とし込む作業は頭の体操にはよくとも、骨が折れるのではないか。
原作の理解力に自信はないけど、「一回失敗したこの世をリセットするチャンスを与える。だから次は上手くやれよ。by神」ということなのかと思う。

 現代的な視点を感じるのはノアのエコロジストぶり。
現在、地球の環境破壊において最大の悪は人間そのものであろうことは異論のないところ。
人間の身勝手な都合でバランスを崩し、それゆえ“異常”気象が起きているとすれば、その大元を正すしか道はないという結論は理解できる。
ただし、仕組まれた“約束”が極端で驚く。
キリスト教圏で賛否があったのはこういう部分だろうか。
(イスラム圏のいくつかの国では上映禁止だったり、中国でも上映されないらしいけど…。たかが娯楽とは見られない事情があるんですね。)

 監督自身、影響を受けたと公言しているだけあり『ロード・オブ・ザ・リング』のクリーチャーを思わせるデザインはなかなか興味深い。また箱舟建造に彼らの手助けが…というのも荒唐無稽な中に説得力がある。(さすがにノアの家族だけではムリがある…。)

 神のお告げを実行する<正義の人>よりも邪悪な考えや歪んだ方向を持つ者に共感を得てしまうのは、禁断の実を食べすぎてしまっているからだろうか。(苦笑)
宗教界から反発が出るほどの作品であっても、アロノフスキーは人類にまだ淡い希望も抱いているのだろう…そんな印象も受けた。

 CGの迫力もあるが、ベースとなるロケーションの壮大さも大スクリーン向き。
ジャンル俳優じゃないのにアンソニー・ホプキンスが『マイティ・ソー』シリーズのオーディンを思わせる役柄だったり、ノアの妻を演じたジェニファー・コネリーがダーウィンを描いた『クリエイション ダーウィンの幻想』(映画祭公開)での役柄とダブッて見えたりして面白かった。
ちなみに現時点で日本未公開の後者は、進化論に異を唱える宗教団体が多いアメリカでは公開が見送られソフト化になった経緯がある。
今を時めくカンバーバッチ様も出演しているから公開のタイミングとしてはイイと思うのだが?本作よりはわかりやすく楽しめると思う。(あー、言ってもうた)あせあせ

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 余談ですが、脱線ついでに気になった字幕について…。(注:ネタバレ含む危険・警告)
担当は超訳聖書で有名な(笑)T女史ですが、ノアの養女イラが(女の子が生まれると困るから)懇願するセリフで「Please give me a son.」って泣きながら言っていたと記憶してるけど、字幕が「生まれさせないで」となっていて、ハナから女の子が生まれるのをネタバレさせている気がした。
もちろん、ドラマ的には「きっと女の子だよな」とは推測がつくけど、先回りはしないでほしいな。わかりやすいけど…。(苦笑)

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