『
グランド・ブダペスト・ホテル』
ウェス・アンダーソンここにあり…という印象。
箱庭みたいとか、ポップな色彩感覚とか、これまでのイメージの集大成を見せている気がする。
三面図を見るような構図と固定カメラの多用にフレームがビシッと決まるから紙芝居みたいでもある。
いまさらファンには説明不要だろうし、真っ先に劇場に駆けつけていることだろう。
ゴージャスな大勢のキャストも予告通り。
これほどのメンツが嬉々として一つのコマを演じているように思えるのもウェス・アンダーソン映画ならではか。
欧州のどこかにある架空のズブロッカ共和国、かつて栄えた山頂のホテル<グランド・ブダペスト>を舞台に顧客の財産を巡るミステリーがコメディータッチで描かれる。
3つの時間の話が入れ子式に組み込まれる。
過去に過去を入れるのは、現在地がわからなくなるから通常はオススメはできないが、この監督なら<あり>だ。
ご丁寧に、時代ごとに画面のアスペクト比を変えている。(だからこそ、どの時代を見ているのか迷子にはならない)願わくば作家の若い時(ジュード・ロウ)と老けた時(トム・ウィルキンソン)が似ていたらなお良かったのに。(笑)
ウィレム・デフォーの退出があっさりだったのも“らしい”といえば“らしい”か。
かなりウェス・アンダーソン監督の映画知識は深いようで、コマ落ち風の動きにサイレントの影響も感じられる。
シュテファン・ツヴァイクの著作にインスパイアされたという本作だが、あいにく不勉強であり著書はおろか名前すら聞き覚えはない。
なるほど彼の生い立ちや人生を考えたらネーミングに込められた意味や奥行きは感じられるが、そういうことを抜きにして楽しめる娯楽作品に仕立ててあるのが間口を広げている。
もてあます知識をいかにも小難しく語るのではなく、綿菓子のようにふわっとさせる発想やテクニックには舌を巻く。
実はかなりグロテスクだったり暴力的だったりする映画なのだが、まるでスナック菓子を食べるようにいただける。
ところでシネマカリテには特設セットも!?
なんとお客さんはこの子たち…、もしや先日の子か?
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