『
罪の手ざわり』
制約の多い国では自由に芸術活動ができない。もちろん映画も例外ではない。
しかし、そういう制約の多さゆえテーマがハッキリし、良い作品も生まれることがしばしば。
お隣の中国も御多分に漏れず。
実際に起きた事件4つを基に脚色化されたというジャ・ジャンクーのこの映画からは現代中国に対して怒りを感じる。
これまでジャ・ジャンクーの作品は数多く見たとは言い切れないが、のっけからバイオレンスでせまりくる様子に“オフィス北野”と組んだ影響もあったのかと邪推もしたくなった。
大量のトマトを積んだトラックが横転したシーン。
これから始まる血塗られた話を象徴するかのような導入。
言ってみれば描かれるエピソードは、母国では単純な<犯罪>として語られるもの。
しかし、その背景にある生活の部分はニュースでは測れない。
公共のはずの炭鉱を私物化する者に憤る男の犯罪。
妻子には「出稼ぎ」と偽り各地で犯罪を繰り返す男。
客から屈辱的扱いを受けるサウナの受付係の女の抵抗。
単調な工場労働に飽き、転職先のナイトクラブでダンサーと恋に落ちる青年の過ち。
埋められない孤独といわれなき差別がごく身近にいる庶民を犯罪に駆り立ててゆく。
押しなべて現代社会は富が支配的な価値観を示す。
金、金、金…それ以外は無価値であるかのような社会となった悲劇を中国の伝統的な“武侠小説”のタッチで表現。
過去の中国が現代を皮肉るということなのだろうか。
急激な経済成長と格差社会の犠牲になった人々の魂の叫びは当局に届くことはあるのか。
どんな人生でもセカンド・チャンスが与えられることを願うばかり。
痺れた。
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