『無用のエルネスト』@
イタリア映画祭2014
ごくごくありふれた庶民を通して語られるイタリアの近代史。
サッカーも勉強もまるで駄目なエルネスト少年。父親から早々に無能の烙印を押されながらも彼なりに奮闘して生計を立てる過程が70年代から現代を舞台にして描かれる。
ほとんど計画性もなく行き当たりばったりの人生設計に「さすが陽気なイタリア人」といったら言い過ぎだろうか(言い過ぎだろうな)。
世の中には間が悪いというか、運がないというか、「ここぞ!」ところで失敗を繰り返す人がいる。(耳が痛い)
何をやってもダメなエルネストは、条件のいい仕事があるわけないのに、わがままからコネ就職を蹴飛ばし、老後の計画とは無縁な<その日暮らし>を好む。
ただ、名前の通り正直者で至ってポジティブなのが救いで、汲々とした生活でも妻子への愛情を忘れることはなく、打算のない人生を送る男はどこか憎めない。
冒頭のごみ集積所のカットはあたかも彼の存在価値を指し示すかのようであるが、一方ではそんなゴミのような中から輝く価値あるものを見つけることもできるのだという教えにも思える。
周囲では悪知恵を使って、テキトーに世渡りする輩もいてエルネストとの対比が面白い。
人生において、経済的成功や社会的成功が人の幸福につながるのかという問いかけなんだろう。
彼の資質を知ってか、損得抜きで付き合う芸術家の存在が頼もしい。
エルネストの人生には<波乱万丈の中でも何とか持ちこたえたイタリアという国>の姿を重ね合わせてみることも出来るのかもしれない。
無名の凡人を主演にしたこの映画がほぼ実話だというのが驚き。
赤い旅団の事件やベルルスコーニの登場など、そういう時代のイタリアの歴史を知っていればなおさら楽しめることだろう。
さて、今年のイタリア映画祭はこれでおしまい。
残念ながらポカをしてしまった映画はこれです。
『マフィアは夏にしか殺らない』
見たかったなぁ…くぅ…。
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