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2014年05月20日00:48

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『ウィズネイルと僕』

 今月いっぱいで閉館になる吉祥寺バウスシアターのクロージング作品に選ばれた1987年の英国映画『ウィズネイルと僕』。
名前だけは聞き及んでいたが、DVDはおろかビデオ化もされていないため、日本では幻の一作となっていた。かつて上映されたバウスシアターで(日本公開では)23年ぶりにスクリーン再上映となった。
この次はないかもしれないと思い、出かけることに…。

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『ウィズネイルと僕』

 スウィンギング・ロンドンを舞台に売れない役者二人の奇妙な友情と取り巻くヘンジンたちとの生活を描く悲劇的コメディ。(笑)
監督と脚本を務めるブルース・ロビンソンが若かりし頃の思い出を基にした半自伝的映画なのだそう。

 英国らしい曇天とシニカルなセリフ回しが印象的。
“僕”の友人であるウィズネイルは、昼間から酔っぱらい、自分ではろくに努力もしないのに良い仕事が来ないと愚痴り、弱い者には強気で強いものにはへいこら。部屋の片づけもせずに不平不満だけは一人前。使えるものは何でも使うが、都合が悪いと平気でうそをついてトンズラをこく。

 要するにヘタレでクズなのだ。

 なぜかそのクズと弟分のようにつるんでいる“僕”なのだが、仕事に埒が明かなく気晴らしにウィズネイルの叔父モンティの別荘に行くことに…。

 別荘のご近所さんの<おもてなし>や途中で乱入するモンティと“僕”とのやり取りは、見事に英国コメディのテーストを感じさせる。
ゲイネタやブラック・ジョークは初公開当時よりも今の日本のほうが受け入れられやすい気がする。

 ’60年代の終わりの設定が絶妙で、黄金時代と言われたスウィンギング・ロンドンの終焉と新しい時代の幕開けが重ねあわされているようだ。青春時代との別れはほろ苦いものでもある。

 気になるのはウィズネイルが“僕”をどう見ていたのか?
きっと“僕”のウィズネイルに対する思いよりも淡白だったのではないか。
ただ、それでも…いや、それだけに最後のシーンは象徴的・暗示的である。
英国役者らしいセリフをつぶやく幕引きには、皮肉にも彼が取れなかった主役の座を射止めた瞬間。
やはり英国の曇天には悲劇が似合う。

 プロデューサーに元ビートルズのジョージ・ハリスンがクレジットされていることもあり、劇中の楽曲にはビートルズやジミ・ヘンドリックスが使用され、時代を感じさせる。
ウィズネイル役でデビューとなったリチャード・E・グラントのダメ男ぶりも良いが、モンティ役のリチャード・グリフィスが飛び切りチャーミング(笑)で素晴らしい。

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 ところで、バウスシアターにはスクリーンが3つあるのだが、一番小さなスクリーンで、しかも一日一回上映になっていた。
一番大きなスクリーンで上映していた公開初めの時に見たかった気もする。
(もう手遅れ…)泣き顔

 実はパンフを見て知ったのだが、上映には二つバージョンがあるらしい。
35mm版とBD版だ。それだけなら多少の画質・音質の違いかと思うが、翻訳が違う。
川口恵子と上田綾乃で前者は以前作られたフィルム字幕で、後者がBD。
今回見たのはフィルムの方なので、ところどころ古めかしい表現が見られる。

 「サテン(喫茶店)」「ホモ」は今なら「カフェ」「ゲイ」だろうか。
Savile Rowと聞こえた箇所は当時の日本でなじみがないと判断したのか「上等な背広」とかいうような表現だったと記憶してる。(字数の問題かもしれないが…)
「Here hare, here.」を「ウサギでウサバラシ」はいかにも考えたなぁという感じ。(笑)
ここだけ取り出すと意味不明だが、話の展開で見るとさすがプロの翻訳者と思う。
新しい方と見比べてみたい気もした。ウインク

 ただ、字幕では<叔父>となっていたがパンフの表記では<伯父>も…、どちらが正しいのだろう?
なぜ未発売なのかは不明だけど、国内盤はでるかな?


 バウスシアターがなくなったら、吉祥寺には縁が薄くなるかと思い「リンデ」でランチを。

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