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2014年05月17日01:50

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『さよなら、アドルフ』

『さよなら、アドルフ』

 原題はヒロインの名前のローレだけなのに『さよなら、アドルフ』とは考えたね。
予告編を見ていて、ドイツ人の子供たちを助けるユダヤ青年の名前が<アドルフ>なのかと勝手に想像していた。(笑)
まぁ、見終わってみれば合点がいくのだが…。

 ナチスを題材にした映画は数知れず、それでもまだまだ手を変え品を変えて登場する。
戦後を舞台に、ドイツサイドの子供たちだけでサバイバルするという視点は初めてかもしれない。
その意味では特別にナチスの映画というよりも、新しい価値観の前でうろたえ葛藤しながらも受け入れてゆく成長物語なのだろう。

 ナチスの高官を父に持ち、何不自由なく育ったローレたちだが、敗戦で両親が戦犯として逮捕されるところから子供たちの本当の闘いが始まる。
 両親が不在となってから、兄弟の面倒を任された長女が遠くに住む(それは安息の地であるはずの)祖母の家を目指していくつものハードルを越えてゆくというもの。

 物理的な面での戦い(食料や移動)もあるが、それよりも価値観の転覆をどう受け止めるかだろう。
昨日まで信じていたことが全部ひっくり返った世界に足を踏み入れなければならないのだ。
ただ、ローレにとって一人じゃなかったのは幸いしただろう。守らねばならない存在は嫌でも人を強くする。
敵と思っていたユダヤの青年に助けられ、父の隠された秘密を知り信念がぐらつき、決定的な衝撃はもっとも信頼すべきところで起きる。
古い世界を追い出され、新しい価値観と共に生きねばならぬヒロインにとって苦い成長物語。

 小説「暗闇の中で」の映画化で、本作が長編2作目のケイト・ショートランド監督にとってオーストラリア代表でアカデミー外国語部門選出は快挙ではないか。
子供と大人の間と、二つの価値観を揺れ動くヒロインのローレを演じたサスキア・ローゼンダールが良い。
『アニマル・キングダム』で撮影を担当していたアダム・アーカポーのクローズアップを多用したハンディカメラの撮影が効果的。

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