『ミエーレ』@
イタリア映画祭2014
『レインマン』などの出演で知られる女優ヴァレリア・ゴリノの長編監督第1作。
主人公は隠された顔を持つイレーネ。自らを“ミエーレ(蜂蜜)”と称して、尊厳死の闇ビジネスに係わっている。
しかし、彼女なりのモラルが存在し、必ず<不治の病>で余命幾ばくも無いという条件付き。
いわば彼女なりの苦悩からの開放という手助け…のつもりなのだろう。
イタリア国内では薬の入手が難しいために、定期的にメキシコに飛ぶ。
だが、事情を知らない彼女のボーイフレンドは「もしや浮気では?」と勘繰る始末。
そしてそれ以上に困惑するのが、このルールが破られる日が来ること。
あろうことか、高齢の自殺願望者に安楽死の薬を手渡してしまう。
仲介人は所詮ビジネスだからと意に介さないが、イレーネにとっては許し難い出来事。
そこからこの二人の奇妙な恋愛にも似た関係が始まる。
命は誰のものか、死をコントロールする権利はあるのかというのは永遠の問題であろうが、「生きることに絶望している人の魂の救済ということにおいて、肉体も精神も区別はないのじゃないか?」
あくまでも<人間らしく生きたい(死にたい)>と願う男性の心のうちに、そんな問いかけを感じる。
もちろん自死自体を美化するものではない。
しかし尊厳死という綺麗なラッピングで包んでいても死には違いあるまい。黒い天使にそこの矛盾を突きつける重みが響く…。
バチカンの影響もあり、キリスト教圏において特にイタリアでは安楽死はタブー視されているという。
かなり大胆な問題提起の長編デビューはヴァレリア・ゴリノの志の高さをうかがわせるようだ。
実のところ、開会式に選ばれた作品だからリピート上映の時に見たけど、こんな重いのを祭典のトップに持ってくるとは…。
(本来は主演女優の来日予定があったためのチョイスだと思うのだけど…。)
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