『
セインツ -約束の果て-』
刹那的で体制に反抗する情熱を感じさせ、同時に個人の無力さをも痛感させるなど、至る所からアメリカン・ニューシネマの香りが立ち込める。
とりわけ
テレンス・マリック。
映像的にマジックアワーの多様や優雅で蕩けそうな風景描写からは、その名が浮かんでしまうのは自然だろう。
もしもボニーとクライドに子供がいたらどうなっていたか?あたかも
『俺たちに明日はない』の後日譚のような話。
時代は70年代というがもっと古めかしい印象…自動車が出てこなければ西部劇の時代を感じさせるテキサス。強盗を繰り返していたボブ(ケイシー・アフレック)とルース(ルーニー・マーラ)が子供を授かる。
それを機会に更生するはずだったが、最後に…と選んだ仕事で失敗する。
保安官らと撃ち合いになり、女をかばって男はムショ行きになる。
だが、幸せな家庭を夢見る男は脱獄を企てる。
方や事件で被弾したもののシングルマザーである彼女に思いを寄せる保安官パトリック。
それぞれの思いや事情が複雑に交錯する。
悪事を働いているのに身勝手だと思われるかもしれないが、底辺で生きる者にとっては他に生きる術がなかったのかもしれない。(つまりは
アメリカ社会そのものが悪ということなのだろう)
主だった登場人物は皆、命を懸けて誰かを守ろうとしている。
あるものは女を、子供を、友を…。
世間の常識からいえば、
ろくでなしのような人間たちであっても、ただ一点そこだけは共感を得るポイント。
誰も傷つけたくない、ただ守りたいだけなのに血が流れる矛盾。
また、この手の話なら落ち着く先も想像に難くないだろう。
『ミスティック・リバー』や『トゥ・ザ・ワンダー』が引き合いに出されるのもうなずける作品を撮った監督はこれが2作目というデヴィッド・ロウリー。自身のルーツを臆することなくスクリーンに映し出す。
美しい映像と音楽がつむぎだす世界に酔いしれる。
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