『
家族の灯り』
現役監督世界最高齢のマノエル・ド・オリヴェイラ監督による新作。
さながら
映画界の生ける“レジェンド”である。
長寿を全うするだけでも簡単なことではないのに、まして映画業界でも生き延びるというのは並大抵のことではあるまい。
もう、それだけで十分なのでは?
105歳になる監督の『家族の灯り』は、とある裕福とはいえない一家においてもっとも頼りにするべき息子の問題について語られる。
彼こそが<灯り>なのだろうが、この家の中はけっして明るいとはいえない。
しかし、老いた父と義娘は協力しあい、息子には盲目的な母と生計を営む。
映画というよりも舞台といったほうが似つかわしい作品で、ほとんどはセット一つの中で行われる会話劇。(それもそのはず、原作はポルトガル人作家の戯曲ということ。)
固定カメラで写し取られた色彩はヴィンテージがかり、それが一つの芸術品であるかのようだ。
かっちりとした昔ながらの映画を偲ばせて、若い監督にはなかなか撮れない作品ではないかと思う。
ただ、問題は未解決に思えるし、母が蚊帳の外のままではまずいのではないか?
会話自体がやたらと説明口調なのも気になる。舞台ならまた違ったのかもしれないが…。
ジャンヌ・モローやクラウディア・カルディナーレ、マイケル・ロンズデールといったこれまたレジェンドと呼ぶにふさわしい大物俳優たちの競演は見所。
登場人物の舞台演出家(?)の愚痴はすなわち監督の代弁なのだろうか。
原作通りなのかもしれないが、言わんとすることには共感できる。
敷居が低い映画とは思えないが、それでも制作意欲を失わずに映画界に<灯り>をともしていることは頼もしい限り。
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