『
エージェント:ライアン』
古典の俳優は古典的な設定を好むものなのか。
人気作家トム・クランシーが生んだ“ジャック・ライアン”シリーズはこれまでも何度か映像化されているが、心機一転(近頃流行の)リブートとなった。
アレックス・ボールドウィン、ハリソン・フォード、ベン・アフレックときて今回演じるのはクリス・パイン。
あどけなさの残る童顔はエージェントとして初仕事となる<エピソード0>にはうってつけかもしれない。
…とはいうものの物語のスタートが「9.11」で、名前を借りた別ものという見方のほうがいいのか。
リブートされても映画のスタイルは変わりなく、アクション主体のスパイ娯楽映画。
個人的に興味があったのは、シェイクスピア俳優のケネス・ブラナーが監督している点。
いったいどこに惹かれたのだろうか?
(もっとも、アメコミ原作『マイティ・ソー』も手がけているように、芸術家である前に一人の“男の子”としてなのだろうか。)
米国とロシアという古典的な対立構図はシェイクスピアに通じる伝統があるのかな…などと思ってみたりして。話の理解を深めるにはアフガニスタンの歴史を思い起こす必要があるのだろう。
しかし、一分析官がスーパーアクションをビシバシ決めるあたりはお話を安くしているようでもある。
(頭脳明晰な上に格闘もこなすとなるとスリル感が後退…)
<いつ・どこで・誰が>テロを引き起こすのかの伏線がはられるが、観客のためというよりはむしろ脚本家のために感じてしまう。
自身が監督しているだけありケネス・ブラナー役の悪玉は一癖ある存在感を放っていて、役柄の背景に漂う謎が続編をにおわす。
ジャックの恋人キャサリン・ミューラー役で登場するキーラ・ナイトレイの話術に主人公以上のスリルを感じた。
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