『
女っ気なし』
ギョーム・ブラック、この監督の名前は覚えておいたほうがいいかも知れない。
フランスの寂れたバカンス地で宿舎を営む非モテ男に訪れた<ひと夏の思い出>。
一見、なんてことのない作品だが、特別でない設定で予算もかけずに特別なものを感じさせている。
ともかく可愛らしい作品で、全体が小気味良いリズム感に溢れている。
もちろん(中編ゆえ)時間制約もあるのだろうが、ダラダラせずに余計なものをすっぱり切り取っている潔さ。
通常なら<サービスカット>と称して入れそうなシーンをあえて省略することで、凡庸になることを回避している。それでいて描くべきところにはじっくり時間を据えて見せるバランス感覚のよさ。
都会からバカンスに来た陽気で自由奔放な母と内気な娘の関係・距離感から生じる物語の展開も自然であるし、なにより愛すべき
非モテ男シルヴァンを演じるヴァンサン・マケーニュが良い。
ヘアスタイルはイケてない。
体型もイケてない。
Tシャツの趣味もイケてない。
空気の読み方間違っている。(笑)
でも、ちょっとした仕草にチャーミングさが宿っている。
最初は冴えないと思った男が最後にはいとおしくて仕方なくなる。
脚本や編集のマジックを信じられる作品。
ネットでも話題になっているが、途中で
音声と字幕がシンクロする空耳も偶然とはいえ面白い。(笑)
同時上映の短編『遭難者』もこのシルヴァンが登場する話。
都会から自転車でフランス北部のオルトという小さな町へ訪れた男に、余計なおせっかいを焼くという役回りだが、彼のキャラクター像が伺えて『女っ気なし』への導入にはピッタリ。
他人との距離感の取りかたとかコミュニケーション下手などのマイナスポイントが人物の魅力になっている不思議。
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