研究者としては評価されるが追っ手から逃げ隠れして孤独な人生を送る男と、年相応の身体成長がないためにいじめられる少女。
孤独な者同士はいつしか互いに親近感を抱く。
前回で終了だったはずの今年の<
ラテンビート映画祭2013>だが、急遽本日がお休みとなったので、東京会場では上映のなかった『ワコルダ』を見に横浜へ…。
第二次世界大戦中、ユダヤ人に人体実験をしたというナチス将校ヨーゼフ・メンゲレが戦後アルゼンチンで一般家庭と共に暮らしていたという実話を基にした映画。
メンゲレを描いた映画には『ブラジルから来た少年』『マイ・ファーザー 死の天使』などがあるがいずれも未見。
<ワコルダ>とは少女が大切に持つ人形の名前で、父親は人形制作の達人だった。
家族で故郷に帰って、ホテル経営をしながら趣味の人形作りを楽しみたいと思う父親は「なんとしても心臓が動く人形を作りたい」と願う。
胴体が空っぽの人形を前にして一心不乱に研究に臨む姿は、毛嫌いするメンゲレの姿が乗り移ったかのようだ。
「改良しようとする意志において人間と人形ではどれほど違うのだ?」というメンゲレの心の声が聞こえてきそう。
メンゲレと幼い少女…世代も国籍も何もかも違う男女に芽生えたシンパシーや追っ手から逃れるスリリングな生活の中でも研究者としての矜持を見せる姿に監督は時代や善悪を超越したものを感じ取っていたのだろうか。
もちろんメンゲレはナチスの一員であったわけで、その非人道的な実験の数々は褒められたものではないが、
狂人というよりも単純に研究バカの典型だったのではないだろうか。そういう純粋さの一面が感じられた。
とかくナチスを描くときに人間離れした<モンスター>と表現するのは、本質を見えなくする恐れもあると常々思う。
ただ、人形を大量に複製しようと企むメンゲレの姿は「第三帝国復興」のもくろみと一瞬重なって見えたのも事実。
とても風景が美しく、劇中でメンゲレが言うように欧州を思わせるような山々や湖が心地よさとミステリアスさをかもし出す。
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