ラテンビート映画祭2013
『
チコとリタ』
ヌエバ・ヨルクとは何ぞや?
スペイン語が分かればイージークエスチョンだが、スペイン語でニュー・ヨークのこと。
第84回アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネートされていて、見損ねていた1本。
実は2011年の同映画祭で上映されたのだが、そのときは見ていなくて少々後悔していた。
『ふたりのアトリエ ある彫刻家とモデル』と抱き合わせ公開だとしても嬉しい。
しかも前回にはなかった監督とのQ&Aつき。
動物キャラばかりがノミネートされた第84回アカデミー賞長編アニメーション部門(『ランゴ』『カンフー・パンダ2』『長ぐつをはいたネコ』『パリ猫ディノの夜』)にあって唯一の人間を扱った音楽ドラマ。
最初はどうしてアニメで作ったのか謎だった。
予算は多少かかったとしても実写で出来る内容で、格別にアニメーションとしての演出表現は必要ない気がしたから。
しかし、監督の話を聞いて納得。
共同監督であるハビエル・マリスカルと「いつか一緒に何かやろう。やれるとしたらアニメーションだ」と、
まずはスタイルありきだったということ。
フェルナンド・トルエバ監督にとっては初めてのアニメーションということで手探りの部分もあったようだが、その可能性については大いに楽しんだようで、全体からリラックスした雰囲気が伝わる。
成功を夢見てアメリカに渡るのはいつの時代も同じことか。
キューバ生まれのジャズピアニスト<チコ>と美人歌手<リタ>。
互いに成功を願い、惹かれあいながらも運命の悪戯でスレ違い続けたチコとリタの波乱万丈の人生が当時のジャズと共に描かれる。
作風が幅広く、シリアスなものからコメディまでジャンルは問わないというのがこの監督の特徴だろう。
3Dソフトは使っているが、輪郭をキチンととる従来のスタイルで表現されたアニメーション。
音楽をメインに扱っているだけあり、音響や録音がとても素晴らしい。(キューバ音楽やジャズ好きなら必見…必聴か?)
実話ではないが、舞台となっているのは実在した場所やミュージシャンが多く、曲は登場人物の過去の録音物ではなく
新たに“それらしい音”を出せるミュージシャンを集めて録音されたと聞く。
実際に、劇で登場する有名スターと演奏した人が「発掘音源か?」と騙されたくらいだというから大したもの。
途中で見せる往年の映画パロディも楽しい。
ただ、キューバ革命などの社会背景に必然性は感じなく、単に舞台装置の一つに過ぎなかったという印象で勿体無いようでもある。
なお蛇足ながら、チコの演奏を担当した(一説にはチコのモデルとも言われる)ベボ・バルデスは今年の3月に他界している。上映はその追悼の意味合いもあったのだろう。
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