ラテンビート映画祭2013
『
エリ』
ショッキングな映画。
それは映像の面でもメキシコ社会の暗部という意味でも…。
メキシコの寂れた土地に父と同じ(おそらく日系の)自動車組立て工場に勤める青年エリ。
妻子と妹と貧しくとも平凡な生活を送る。
だが、軍人である妹の彼氏の過ちから家族にも火の粉が降りかかる…。
おそらくこういう貧しい土地ではまともな仕事がない。
だからこそ学がない若者は麻薬犯罪などに手を染めない道を選ぶとすれば、警官や軍人になる他ないのかもしれない。
ただ適性のないものが権力を手にしたらどうなるか…その先は想像するまでもない。
いくら自分がまじめに生きていても犯罪に巻き込まれるやり切れなさはなんとしよう。
芝居は素人くさいがドキュメンタリーかと思うほど真に迫る映像に息を呑む。
(主要キャストは、ほぼ映画初出演ではないか?)
のっけから衝撃的なシーンで、これから始まる映画に「覚悟しろ!」といっているようで、“予告”どおりグロイシーンには思わず目を背けたくなる。
しかし、それ以上に
目の前の凶行に子どもも大人も誰一人驚かないことに驚く。
客観的に捉えようとするカメラワークが一層臨場感を持たせているようだ。
まさにメキシコの暗部を抉り取るような重い社会派映画で、腐敗した権力構造にあって、頼れるものは自分自身しかないという無秩序状態が逆に裏付けられてしまう悲しさがズシリとのしかかる…。
救いはそんな劣悪な中でもたくましい生命力が垣間見られることか。
3作目の本作にしてアマ・エスカランテ監督はカンヌで最優秀監督賞に輝く。
今後、一般公開があるかは不明だが、東京国際映画祭でも17日の夜に上映がある。
(ラテンビート映画祭・京都でも19日に上映あり)
興味がある人は映画祭ならではの<無修正シーン>のために見ておく価値はあると思う。
(って、間に合わないかな〜)
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