『
マイ・マザー』
早熟の天才、どのジャンルでもこういう存在はいる。
この映画の主演兼監督のグザヴィエ・ドランもその一人か。
『わたしはロランス』の成功もあってなのか、順序は逆転したが一般公開になるようだ。
(すでにCSのイマジカでは放送済み。その時のタイトルは『マイ・マザー/青春の傷口』とサブタイトルがついている。)
英語原題が『I killed my mother』で、こう聞くと猟奇的なものか 社会派ドラマかと思ってしまいそうだが、もっとパーソナルな内心を描いた青春もの。
グザヴィエ・ドラン自身の半伝記的な物語だという、
いわば<私小説>ならぬ<私映画>ということか。
母と共にケベックに住む17歳の高校生ユベール(グザヴィエ・ドラン)の悩みと焦燥感、成長期にありがちな反抗と羨望などがごちゃ混ぜになり、一人の青年の輪郭を形作って見せる。
映画には3組の親子が描かれる。まず主人公ユベール親子、それに“友人”アントナンの開放的な親子、最後はユベールの学校の教師ジュリーの父との関係。
それぞれから影響を受けながら自分の幸福の追求や理想の母親像を思い描くユベール。
思春期に母親を疎ましく感じる男の子は珍しくない。日本人から見たら<身勝手な母親>に映るが、個人主義の欧米社会なら驚くほどではないかもしれない。
それでも…それだから理想的な息子を演じる代わりに母にも理想的な母親を演じて欲しかったのかもしれない。ケンカが絶えない母子だが、決して嫌っているわけではない。肉親だから反発し、甘えから突っかかる…。
親離れするための衝突なのだろうが、
安息の地を求めてたどり着く先が“そこ”だったというのが切ない。
色彩というよりも色調の美しさが印象深いセンスを垣間見せるが、なんと言っても19歳にして監督・脚本・主演を務め、これだけの映画にまとめたのは凄い。
処女作らしく硬さも残るが、それを補って余りある才能の片鱗は感じさせる。
11月9日より、渋谷アップリンクほか、順次公開
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