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2013年09月23日23:17

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『Mud』

『Mud』

 少年はひと夏の貴重な体験をして成長する。

 両親と共に川岸のボートハウスで底辺の生活をするエリス。両親の離婚の危機におびえながらも友人ネックボーンとひと気のない島に遊びに行く。目的は洪水で乗り上げたらしいボートを秘密基地にするためだが、そこで先客のマッドに遭遇する。
彼は何者でなぜここにいるのか…。

 タイプ的には『スタンド・バイ・ミー』が思い起こされる。他には西部劇の雰囲気も少々…。
たいていの男の子なら経験があるように、秘密基地遊びや年上の女の子への背伸びした憧れ、ちょっと危ない匂いがする大人との接触や誘惑に駆られることをあながち否定も出来ないだろう。
そうした要素がぎゅっと詰まった一編。指でOK
ある種、<男のロマン>の話ではないか。
ロマンを求めているからこそ現実派の女性たちとは温度差が出る。
中心は少年エリスの成長物語。誰も理解してくれず、常に見下される中で生きる孤独な存在を描いている。そんな状態だからこそ、自分と対等に向き合い理解を示すマッドに惹かれたのも無理はない。

 <タトゥーの鳥>、<靴の十字架>、<川辺ギリギリに住む>などメタファーに溢れる作品で、一番は主人公の名前のMUDだろう。意味は泥で風貌からしてそのものだが、作品全体の象徴となっている。
泥といえば、汚らしく価値のないもの…と見られがちだが、その泥の中からでも光り輝くものを見つけることが出来るという示唆は希望となる。ぴかぴか(新しい)

 監督 は『テイク・シェルター』 のジェフ・ニコルス。
ミステリアスな人物マッドを演じるマシュー・マコノヒーは歯並びまで変え、イケメン俳優が嘘のように小汚い。(でも、脱いだら凄いんです!)

 エリスの父親が親らしい言動を見せるあたりは見せ場の一つだし、トム役のサム・シェパードの渋いカッコよさにもしびれる。
しかし、最大の発見は少年二人であろう。
特に主人公エリスを演じたタイ・シェリダン。まっすぐな感じが伝わってきて好感が持てる。

 舞台となったアーカンソー地方の風景がこの世とは思えない景観を見せていて、観客を別世界へ連れて行ってくれる。
ビタースウィートな余韻を残し、夏の残り香が漂う気がした。

フォト


(2012年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。日本公開未定)
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