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2013年06月17日21:11

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『嘆きのピエタ』

『嘆きのピエタ』

 キム・ギドクが帰ってきた。
劇映画を休止する間の様子を語った『アリラン』は未見なれど、こうして復帰したのは嬉しい限り。
きっと何かを掴んでのことであろう。

 タイトルの「ピエタ」とは、死んで十字架から降ろされたキリストを抱く母マリア(聖母マリア)の彫刻や絵の事を指す。果たしてこの作品で<死んだ息子>は誰なのか…。
表面的なことは話で語られるが、暗喩としての<母><息子>が誰をさすのかを探りながら読み解かないとならない。

 主人公は借金取りを生業とし、返せないやつは身障者にしてまでも取り立てるといった無慈悲な男ガンドで、そこまで非常になるにはそれなりのワケがある。誰からも…とりわけ母親の愛情を知らずに育った者に他者へのいたわりを持てというほうが無理なのかも。
そんな折に母と名乗る中年女性が現れる…。

 韓国で問題となっている高利貸しに材を取っているが、その背景にあるのは不景気や格差社会が生む歪みであろう。
被害者たちは韓国の貧困の象徴か。貧困層の負の連鎖はどこの国でも問題であろうが、解決策は容易ではない。
<価値>の分からない人間に<価値>を教えて…、という皮肉めいた発想は中々面白い。しかもその後の二転三転する仕掛けには唸らされる。

 ともかく<母>ミソンを演じたチョ・ミンスが凄い。アップを捉えた表情が凄い。
絶対逃げない姿勢を見せる態度が凄い。
逆にガンドのキャスティングは難しいと思った。演じたイ・ジョンジンは無慈悲な人間にはどうしても感じられない。
また、母の愛というものを知らずに育った男の心がこれほど簡単に変節するのかという猜疑心が払拭しきれなかったのが小さな不満。涙

 決定的シーンを見せないのは一つの特徴だろうが、見せないことで想像することを要求しているのだろうか。
美しくも恐ろしい儀式のようなラストに言葉を失う。
人は誰しも人間らしく生きる権利があるはず、その知恵なくして社会の再生はありえない。
キム・ギドクの嘆きが聞こえる。

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2012年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞
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