『それは息子だった』
郵便局で順番待ちをするさえない男がポツリポツリと語り始める。
外では摩訶不思議な光景が繰り広げられる。
実話を基に創作された話だというが、ある種の寓話なのだと気づかされる瞬間。
パレルモに住む貧困大家族チラウロ家の家長は廃船からくすねた鉄くず売買で生計を立てている。
あてにしている息子は役立たずで、常にののしられっぱなし。
そんな貧しい一家に訪れた更なる不幸…。
だが、ここで驚くのはその対応だ。常識では考えにくいが、それだけ逼迫しているということの表れだろう。
「貧すれば鈍する」という諺もあるではないか。
しかし、お約束どおり<あざなえる縄の如し>の展開が待ち受ける。
子どもが“未来の象徴”ならイタリア社会の暗雲を表しているのか。
また、かの国では
母系が家庭を仕切っているのがよく分かる。
ホンの脇役と思っていたキャラクターの大暴走は驚嘆の一語!
生き残るためには<ここまでしなければならない>のか!?
寓話的な配慮は、話があまりに惨憺たるものにならないためだろうか。
いずれにしろ現代人は
お金の奴隷であるという切なさと哀れみがにじみ出る。
冒頭で話していた人物が<誰>なのか、また<何について>語っていたのかが、最後に明かされると思わず声を上げたくなった。
(監督のダニエーレ・チプリ)
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