ライアン・ゴズリング主演の『ドライヴ』で世界に名を知らしめたニコラス・ウィンディング・レフン監督のデビュー作にして出世作である
『プッシャー』シリーズを一挙上映!
一作目こそ上映されたものの、二作目以降は初お目見えらしい。
…ということで久々に一日で三本のハシゴです。時間が詰まっていて、休憩時間が10分しかないところもあり厳しかった。(笑)
『プッシャー』
タイトルにある
プッシャーとは麻薬密売人のことを指す言葉。
コペンハーゲンを舞台に裏社会を刹那的・快楽的に生きる一人のヤクの売人が借金まみれになり転落してゆく様をリアルなバイオレンスタッチで描く。
このシリーズの特徴として冒頭に主要キャストがズラズラと並べ立てられるのだが、取りわけ群像劇として描かれるわけでもないので、“スタイリッシュ風”でしかないのが勿体無い。
もしかしたらデンマークでは有名なのかもしれないが、主人公となるフランクの役者にハナを感じないのが心もとない。
それよりも仲間の一人
<トニー>を演じるマッツ・ミケルセンに目が行く。
これで長編劇映画デビューらしいが、そのオーラはすでに漂わせている。
終始ハンディで、“自然光”で撮影されるのも効果以前にローバジェットゆえだろう。
後の『ドライヴ』に繋がる片鱗は感じるものの、ドラッグを扱ったノワール映画としては平均点の枠を超えるものでもないかな…。ヒロインの子が気になる。
『プッシャー2』
前作で主人公以上に魅力的だったマッツ・ミケルセンが演じるトニーを主演に据えての続編。
一応、キャストともども世界観は繋がっているが、独立した一本として楽しむことが出来る。
前作から年数が経過していることもあり、映像的には格段の向上を感じさせる。
売春宿の真っ赤な部屋など色彩面の工夫の跡も見られ、同じハンディカメラを活用していても、“選択肢”と感じ取れる。
どんなダメ人間でもいいところの一つくらいはあるという救いがカタルシスを与えていて、親と子の関係性などに
一種の神話的な要素も感じ取ることができる。
シリーズ三作品中では、これが一番好き。
『プッシャー3』
前二作でのヒール役(といっても『アウトレイジ』のように全員悪党みたいなものだが…苦笑)を主演にした第三弾。これも独立した一本としてみることが出来る。
麻薬王として君臨してきたミロはガラにもなくドラッグのセラピーの会に入っていて、体力の低下や時代の変化を感じ取れる。
時代の変化は扱うドラッグの種類にも現れている。
シリーズ中ではもっともユーモラスだと思われるが、それは主人公ミロのキャラクターに依存する部分も大きいだろう。
こんな悪党でも我が子はかわいいわけで(笑)、街の顔役と一人の親としての間で葛藤する様が描かれる。娘のパーティーシーンは映画のタイプこそ違うが同じデンマーク作家スサンネ・ビアの『アフター・ウェディング』が頭をよぎった。デンマークの生活が感じ取れて興味深い。
話の筋は悪くないが、前作と少しタイプが似通っているため展開が読めてしまう。
後半に登場する“昔馴染みの友人”のカッコよさにしびれる。ミロお父さんの活躍も持っていかれた印象。
それにしても
終盤のグロシーンはインパクト大で、なまじっかなホラー以上かも!?
散々苦労した挙句の<悪事の報酬>を思わせるラストカットが余韻を残す。
今月17日にソフト発売&5月に1作目がWOWOWで放送予定。
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