『
コズモポリス』
ジャクソン・ポロックを想起させるアクション・ペインティングから始まるクローネンバーグの新作。
革新的かつ抽象的な作品なのかと身構えてしまうが、当たらずとも遠からじ…といったところか。
資本主義の終末を暗示する実にメタファーに溢れる作品。
若くして成功した主人公エリック・パッカー(ロバート・パティンソン)が大半を過ごす白いリムジンの内部は彼の世界そのもの。
日常生活のほぼ全てがまかなえるというのも驚きだが、一方で、車体の<白の変容>や<高級感>の意味するところも暗喩に満ちている。
クローネンバーグは<わずか6日間>で脚本を書きあげたそうだが、ドン・デリーロの同名原作の咀嚼と変換は十分だったのか。結果、俳優に咀嚼力を要求することになったのではと想像してしまう。
その意味で(ファンには申し訳ないが

)爬虫類を思わせるロバート・パティンソンの面立ちは<クローネンバーグ映画らしさ>という点で悪くない選択だと感じるものの、表現し切れているのかと問われると返答に窮する。共感されにくい設定というハンデを差し置いても…。
その点、順番に彼のリムジンに乗ってくる俳優たちには手だれ(ジュリエット・ビノシュ、マチュー・アマルリック、サマンサ・モートン…)を用意しているのは賢明な配慮だろうか。
とりわけ、
観念的な会話に終始し眠気を誘う中、<体温>を感じさせるポール・ジアマッティの存在感は光る。
クローネンバーグといえば、見るものを不快にさせるゾワゾワした描写やネットリ粘着質が特質のひとつかと思われるが、
彼自身の粘着力が低下していないか少々気がかり。
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