『
世界にひとつのプレイブック』
人生でもっとも大切なものを失い奈落のそこへ突き落とされた時、人はいかに這い上がることが出来るか…。
妻の浮気が原因で、家庭も職もダメになってしまったパット(ブラッドリー・クーパー)、同じ頃夫を亡くし似たような境遇に陥ったティファニー(ジェニファー・ローレンス)が出会い、どん底から人生を立て直す様を過剰にシリアスにせず、軽やかなタッチで描いてみせるデヴィッド・O・ラッセル監督。マシュー・クイックの同名小説の映画化であるが、脚本の巧みさと俳優の素晴らしさは特筆ものだろう。
主演、助演全部門ノミネートが話題になっているが、確かに芸達者が揃っている。
近年は、オスカー俳優の肩書きが先行していた嫌いもあるロバート・デ・ニーロがアメフト狂のオヤジを印象深い芝居で見せていて、病んでいるはずの息子以上に異様な性格設定だと思うが、これを実力でねじ伏せているあたりはさすがというほかない。
正直、主役のブラッドリー・クーパーよりも“
美味しいところ”を持っていっているのじゃないかとさえ思う。(笑)
突飛な行動を見せるティファニー役のジェニファー・ローレンスが時間経過と共にみせるメンタルの推移に役作りのうまさを感じさせる。
メイクやライティングの効用もさりげないが確かである。
また選曲、挿入のタイミングといった“
音楽の使い方”には唸らされた。
主演二人は似た境遇ゆえの接近だったが、大事なものへのベクトルの違いが男と女の違いを感じさせて妙に納得してしまう。
一見、ユニークな作品に思わせながら実は古典的なロマコメに着地している点に、ジェニファー・ローレンスが50年代のシャーリー・マクレーンと重なって見えたのも偶然ではないかも。(?)
新世紀のビリー・ワイルダー劇を見ているようだったといったら持ち上げすぎか?
タイトルにもなっているプレイブックとはアメフトで使われる
フォーメーションを記した戦術図のことらしく、
Silver Linings(希望の光)の意味と重ね合わせると「なるほどなぁ」と思う。
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