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2013年02月11日00:09

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2012年 第86回キネマ旬報ベスト・テン第1位作品鑑賞会と表彰式

2012年 第86回キネマ旬報ベスト・テン第1位作品鑑賞会と表彰式

 初めてキネマ旬報の授賞式に行ってみました。
場所は銀座ブロッサム中央会館、ここも初めて。

フォト

 日本映画・外国映画・文化映画それぞれの1位になった作品も上映され、その後授賞式が執り行われます。
今年は外国映画の『ニーチェの馬』以外は未見でしたので、これ幸いと…。

 いかにも文化ホールといった講演をするための会場に見える。
やはりというか朝日ホールを思い出すイスの作りや傾斜の緩さはいやな予感。ふらふら
救いは日本映画が二つで、唯一字幕の映画はすでに見ているということか。

…と思ったが甘かった。日本映画二つとも会話が日本語なのに聞き取れない。(苦笑)

 上映順序は文化映画の『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』から。
ここでいきなりハプニング。
「おい!色がついていないぞ!!」の野次が飛ぶ。
…てっきりモノクロ映画かと思っていました。
設定をいじって頭からやり直ししたため10分遅れる。

 福島カメラマンの存在は、あたかも彼自身が生きる戦後史のようだった。
なんとも壮絶な体験談で、聞き取りづらいながらも伝わるものがある。
やはり写真の力は大きい。
広島の被爆者のことや天皇の戦争責任についての言及。
学生運動、公害、ウーマンリブ、成田闘争…、どれもブラウン管の向こう側で見た光景ばかり。
それらを総て実体験してきたのだから恐れ入る。
そんな彼が今取り組んでいるのは、もちろん3.11の福島原発だ。
図らずもカメラマンとして名をなした出発点の広島の原爆とリンクするかのような出来事に運命の悪戯を感じる。

 90歳という老体に鞭打ってでも、いまだに撮らなければならない素材があることの不幸がなんとも重くのしかかる。


 ところで今年の外国映画は『ジョルダーニ家の人々』にならなくて良かったね。(笑)
それだと日付が変わっていたかも?
『ニーチェの馬』は以前日記にUPしたので割愛。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1821757072&owner_id=11939455

 正直、食後ということもあり半分寝てしまった。
上映前に「次の『ニーチェの馬』は白黒映画です。」と丁寧にアナウンスが流れ場内に笑い声が…。ほっとした顔

 しかし、最初の上映は時間が10分狂ったのにも関わらず、5分くり下げただけで最後の日本映画は定刻どおり。
元々、文化映画と外国映画の間は30分程度あるのだが、次の日本映画は15分程度しかなかった。なのに時間厳守なので、正味10分程度…。
その時間帯に我も我もとトイレに流れ込むので裁けるわけがない。
もう少し知恵があってもよさそうなものだが…。(シッコウ猶予をください)


 『かぞくのくに』

 今日、一番見たかった映画。
しかし長時間座り続けで、すでに尻が痛い。がんばれ俺の尻。(笑)

 今年の第1位作品はどの部門も重い。
絶望と隣り合わせの作品ばかり。
在日コリアン2世のヤン・ヨンヒ監督が実体験を元に描いたフィクション。
表彰式で「映画作りをやめたら北(朝鮮)の家族に会わせてやる」といった嫌がらせも受けたと話していたのが印象的。まさに「今そこにある危機」である。
映画から自由も希望もない北朝鮮の実情が浮かび上がる。
これまでも様々な媒体で語られていることと重なるが、当事者の声は重みがある。
よく刑務所では「夢を見るのと空気を吸うこと以外は自由がない」なんていうけど、まさしく北も同じ。

 この作品でキネマ旬報の主演女優賞を受賞した安藤サクラはさすが!
一瞬でガラリと空気を変える力がある。
北の監視員としてキャスティングされた『息もできない』のヤン・イクチュンが北訛りで出演(といっても訛りの違いまでは分からないけど…。)監督たっての希望というだけあり、イヤらしいまでの監視員を好演していた。指でOK

 身勝手な権力者の都合で人生を左右される庶民の悲劇がいつまでも続いていいはずはない。
たとえ体制に絶望しても希望を諦めてはいけないことだけは胸に突き刺さる。

フォト
(撮影禁止なので拙画でご容赦)あせあせ

 表彰式では司会の笠井信輔アナ(フジテレビ)が登場。
「個人的には『わが母の記』と『海猿』を押していた!」と局アナらしい発言で場内を賑わす。(どこかにお台場の監視員がいたのか?)
やはりというか司会は手馴れていて、軽快にテンポよく進む。
対照的に、この後の“お偉いさん”のありがたい挨拶がどれほど長く感じたか…。

 今日の映画はどれも《家族》がキーとなるものばかり。
冒頭の『ニッポンの嘘』では被爆した家族から話がはじまる。『ニーチェの馬』でも一家族の姿が映し出され、最後はズバリタイトルに家族とつく。
その流れを受けて、授賞式のスピーチでは家族ネタで笠井アナがふっていた。

 外国映画関係の受賞者はいずれも代理人だったが、(これまで授賞式に出た人はいるのかな?)基本的には当人が来ていた。

 周防正行、内田けんじ、安藤サクラ、小日向文世、橋本愛、三浦貴大、ヤン・ヨンヒ、長谷川三郎…。と錚々たるメンバーが居並ぶが、ひとり森山未來だけ九州の舞台から飛行機で駆けつけるはずなのに間に合っていない。
森山くんを待つ意味もあり、各自のコメントを引っ張る笠井。げっそり

 それぞれエンターテイナーぶりで聞いていて楽しかったのだが、とりわけ安藤サクラは出色。
この人、自然体なのか天然ちゃんなのか分からないけど、「(未来の)子孫に感謝します」のスピーチは前代未聞でしょう。(笑)
ドラえもんかっ!?うれしい顔

 また、小日向さんが芝居で始めての受賞だというと場内どよめき。
両親に有名人を持つ 三浦貴大にギリギリ(?)の質問を浴びせる笠井アナ。
そして、予定時間を少し回った頃にようやく到着した森山未來に割れんばかりの拍手。
大変だっただろうが得したかな?


 蛇足ながら、ご存知かもしれませんが、オスカー像と少し似ている《ワダエミ》デザインのキネ旬のトロフィーは頭部と腕がない。これはかつて「頭の部分をコンセプト(発想力)、手の部分を技術力、表現力と考えますと、このトロフィーには、それらが欠けています。それは、これを受け取られた受賞者の方々の、発想力、技術力、表現力を以て、完全にしていただきたい、という気持ちからです」と発言している。


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