『
砂漠でサーモン・フィッシング』
「できるかできないか」ではなく、「やるかやらないか」、古くから言われることわざを思い起こさせる。
砂漠のど真ん中でいかにして鮭を泳がせることが出来るのか。
奇抜な難問を実現していくのは、まさに映画作りと重なるようでもある。
ポール・トーディの原作『イエメンで鮭釣りを』の映画化だが、一大プロジェクトの裏でロマンスを漂わせ、さりげないユーモアと政治のしたたかさを揶揄してみせる
脚本家サイモン・ビューフォイ(『スラムドッグ$ミリオネア』)の手腕とラッセ・ハルストレム監督の力量が伺えるバランスのよい作品に仕上がったと思う。単なる金持ちの我がままで魚釣りがしたいわけじゃないことは想像に難くないだろう。
描かれた真意に触れたときに、これは地上全ての人の問題となると思われる。
プロジェクトの中核をなす人物は全てロマンチストで、取り巻く連中はリアリストという対比が生きていて、また作品のタイプを物語る。きっと現実ならもっと効率のいい方法はあるのだろうが、それでは話としてつまらない。(笑)
鮭の遡上を思わせるように人ごみを掻き分ける俯瞰ショットもシャレている。
イエメンに見立てたモロッコのロケーションも良いがキャスティングの見事さが光る。
この映画の“さかなクン”こと水産学者ジョーンズ博士に
ユアン・マクレガー、依頼主の代理人ハリエットに
エミリー・ブラントを配す。イエメンのイケメン大富豪シャイフ・ムハンマド役のアマール・ワケドも適役に見える。
が、なんと言っても辛らつな物言いをする広報官を演じるクリスティン・スコット・トーマスのキャラクターにはしてやられた。彼女を見るだけでも価値はあると思う。
首相とのやり取りは“傑作”の一言!
「できるかできないか」ではなく、「やるかやらないか」。
恋も仕事もそれ以外もまさにその通り。(笑)
試写会@シネマート六本木
12月8日より公開
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