日本未公開映画から二本。
『London to Brighton』

2006年の英国映画。
キングスクロス駅で立ちんぼして稼ぐオバちゃんケリーが、ワルの仲間から小娘と<お遊びしたい上客>がいるから調達して来いと言われしぶしぶ家出少女ジョアンをつれてくるものの…。
カットバックをうまく活用して手際よく見せるサスペンス物。
静と動の切り替えし、メリハリが効いている。
小児愛という児童への性的虐待と大都市につき物の風紀の乱れといった社会面を描きながら、奥底では人間を信じているかのようなスタンスを感じる。
新人監督ポール・アンドリュー・ウィリアムズはケン・ローチほどシリアスにならないものの芝居の見せ方などには似通った印象も見受けられる。
あるいは同じ英国の監督で言うとマイケル・ウィンターボトム的ともいえるか。
いわゆる社会の底辺にいる人々の生活を描き出すのだが、
すさんだ生活よりも怖いのは豪邸や化粧といったきらびやかな瞬間かも。
たくましいオバちゃんと子どもの組み合わせというと『グロリア』を想起するが、あそこまでヒロイックではない。
孤独な者同士のロードムーヴィーといってもいいが、安易な結末にしていないのも欧州映画らしい。
ひと気のないブライトンの浜辺も彼女たちの孤独さをよりいっそう引き立てているかのようだ。
最後シーンは切なくなった。
小道具のタバコが生きている。

『Julia(2008)』

『ジュリア』といえば1977年、フレッド・ジンネマンの映画を思い起こす人もいるかもしれないが、これは第58回ベルリン国際映画祭コンペ部門にも出品されたティルダ・スウィントン主演のクライムサスペンス。
話はどこかで見たようなエピソードも見受けられるが、ともかく
ティルダ・スウィントンの演技力に引っ張られる作品。
主人公ジュリアは昼間から飲んだくれるアル中で、オマケに酒の勢いで誰とでも寝る尻軽女。
(この壊れっぷりが凄まじい。)
禁酒セラピーの会で知り合った向かいに住む女性と関わりあうことになり、彼女から引き離された息子を誘拐して欲しいと頼まれるといった話だが、まず犯罪に手を貸すこと自体が自業自得だし、その後も悪循環のお手本のような転落人生なので大概の人は共感しにくいと思う。だが、ただ一点だけ良い点がある。
悪態ついてもギリギリのところで
人としての良心をなくさないこと。これが救いになっている。
おそらくなまじっかな女優がやっていたら白けた作品になっていた可能性もある。
こちらもアメリカからメキシコへと向かうロードムーヴィーだが、終盤に思わぬ展開を見せるあたりはユニーク。
アメリカでは<どん底>だと思っていた自分よりも隣国に来て見たら下には下があったというのも痛烈。枝葉がとっ散らかっているけど、本筋から見たら瑣末なことか。
あ…どっちもオバちゃんと子どもだ。(笑)

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