『
ディクテーター(独裁者) 身元不明でニューヨーク』
絶滅危惧種になりかけている<独裁者>。
間抜けな思考回路を容赦なく笑いに置き換えて見せるが、あながち笑ってばかりもいられない。
一目見て分かる番長が激減して一般の生徒に不良が浸透したように、いまや独裁者は個人とは限らない。
上映禁止になった国があるというのが容易に想像つくほどに
あからさまな人種・宗教差別、下ネタ、アンモラルを笑いに活用するのはリミッターの外れた
サシャ・バロン・コーエンを差し置いて他にいないかも知れない。
カダフィ大佐をモデルにしたという架空のワディヤ共和国のアラジーン将軍を演じるサシャのやりたい放題に抱腹絶倒。さすが英国人だけありブラックな笑いに終始。
ブラックといってもモンティ・パイソンやファレリー兄弟よりも庶民的。
下ネタに至っては小学生レベルの笑いの取り方。

映画が好きらしいのは
金正日からだろうか。
しかし、これらを不謹慎というのは野暮。
表面ばかり見ないで奥のほうを(というほどでもないと思うが)見るべきだろう。
クライマックスでの政治的社会風刺スピーチは『チャップリンの独裁者』ほどではないにしろ突っ込みのキレは中々よい。
独裁者は滅びたわけではなく見栄えのよい仮面を付けた顔の見えにくい姿になっているという指摘なのだと受け止めた。
ワハハと笑いながらも帰り道では背筋が一瞬凍りつく。
こういうタブーに挑む作品が堂々と大手を振って作られる内はまだ健全なのか?
有名俳優のカメオ出演にもドッキリ!(笑)
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