『
ル・アーヴルの靴みがき』
まさにカウリスマキ、ここにあり。
メタファーに溢れる優しくてホッコリする大人のファンタジー。
自分の靴を磨かない靴磨きの男が<この世界>で何を出来るか、何か変えることが出来るのか。
革靴をはく人が激減した現代にとって、靴磨きを生業にすることはドンずまりの人生でしかないだろう。
しかし、ささやかな希望すら断たれたような男にでも運命の扉は開かれる。
いかにもカウリスマキらしい美術が印象的。壁も窓も船さえも
ぬくもりのある手塗りで彩られている。決してビビッドな極彩色ではない。どこかホンワカしているのだ。
一見プロらしくない役者の芝居も<ファンタジー>にはよくマッチしている。
描かれる舞台のフランス(ひいては欧州)における<移民の問題>という現代的な視点を見せるのは、まさに未来を見つめているにほかなるまい。
さしずめ移民の少年が<未来>を指し示すなら、よく出来た古女房は<過去>を指すのであろうか。
<過去>は相当くたびれて、崩壊寸前…。
だがそんな時でも
<未来>に希望を捨てなければ<奇跡>が訪れる!
惜しむらくは私にカフカの造詣が深ければ…と後悔。
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