『
ももへの手紙』
言ってはならない「一言」を悔やんだことはないだろうか。
つい感情的になって勢いだけで相手を傷つけてしまう。
しかも、それが最後の会話となってしまったら後悔の日々が待っているだけ。
『人狼』の沖浦啓之監督の第2作目は父の死後、母と瀬戸内海のある島に引越し<妖怪>たちとの不思議な体験を経て一歩踏み出すという癒し系ファンタジー。
大半は島で子どもたちの遊びを通した生活が丁寧に描かれる。
亡き父が最後に書きかけた娘「もも」への空白の手紙がキーになり、話が進展。
対象となる観客層からいっても、展開は予定調和の世界と言って差し支えあるまい。
でも、それでいいと思うし、そういう作品だからこそ親子で楽しめるともいえる。
影線をほとんど排し、デフォルメの少ないキャラクターデザインは地味にも映るが、妖怪とのギャップも考慮されたのであろうか。リアリティを与える点でも貢献していると思う。
描かれる瀬戸内海の風景の美しさも高水準ではないか。
三人(?)の妖怪たちのユーモラスな描写はまさしくアニメならではで、差異の少ない人間と違い個性豊か。
母と娘が主軸ではあるが必ずしも男の子が退屈するというわけではなく、
クライマックスのダイナミックな描写は見るものを圧倒!(『もののけ姫』が想起された)
山に施設された登坂機(?)も面白く、そこで遭遇する生き物がさり気にテーマを補足しているようにも感じた。
私は決して
声優原理主義者ではないが、基本的に声のキャストに声優を専門としている人を使わず有名タレントを使うのには反対である。…だが、この作品は違った。体型からも“ため描き”かと思われる<イワ役>西田敏行は別として(笑)、
母親<いく子>を演じた優香は、あまりに自然でピタリとハマっていて驚く。
妖怪認識の謎や橋の上でする<遊び>を流れの中で完遂して欲しかった点などの心残りもあるけど、プロダクションI.Gの手の込んだ仕事ぶりを堪能した。
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