『
人生はビギナーズ』
商業映画は<誰か>という
第三者の観客のために作られる。
だが、監督自身のために作られたストーリーが他の誰かのためになるとしたら…。
『サムサッカー』などセンスを感じさせる映像を生みだしているマイク・ミルズの実話を元に本人が監督。
母がなくなり余命いくばくもなくなった父のカミングアウトから始まるストーリーだが、主だった登場人物は監督役の<オリヴァー>と彼女<アナ>と父の<ハル>。
回想で登場する母や父の新たな“恋人”も含め、老若男女
全員が孤独で不器用な生きかたしか出来ない連中。
どこか共感を覚え、歯がゆくもあり、それゆえ愛おしくもある。
配役が素晴らしい。ユアン・マクレガー、メラニー・ロラン、クリストファー・プラマーと人気実力を兼ね備えた布陣は頼もしい限り。特にゲイの父役をクリストファー・プラマーが演じたことで、ともすれば嫌味になりがちな役柄に愛嬌と奥行きを与えている。
タイトルに<ビギナーズ>と複数形になっているのがミソで、とかく隠し続けてきた本心をさらけ出し、それぞれあるべき人生の一歩を踏み出そうという勇気をやわらかく描いている。
じれったいほどゆっくりだが着実な歩み…、
監督自身を癒すストーリーは孤独にさいなまれる現代人の<誰か>をも癒すようでもあった。
飼い犬のアーサーが実にいいアクセントになっている。(反則だ。…笑)

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