ネルドリップで再出発

「アイスコーヒーお願いします」とだけオーダーしたら、ガムシロップとスジャータなし、よく冷えたマグカップだけが目の前に。常連のはしくれとしてしっかり憶えていただいていたということか。なんばウォークの老舗喫茶・ボナールが「nel」という店名にて再出発。その意味をマスターに訊くと「ネルドリップから取りました」とのこと。

長い歴史を持つボナールが閉店したとき、”お手元に残ったコーヒーチケット、代金返却します”との告知があったので様子うかがいに。応対の女性によれば、閉店理由はコロナによる営業不振でもなく、高齢のオーナーの健康状態でもなくとのこと。それ以上は突っ込んで訊かなかったけど、とにかく時期がきたら再開しますときっぱり返事。

先月末に待望の再開。とくに改装した雰囲気もなく、以前とまったく変わりのない店内。いまどきめずらしい相席ありのお店だったけど、コロナ禍の今回どうなるのだろうか。常連らしいオッサンが三々五々やってくる。誰もみなマスターとは「ひさしぶりやな」「またよろしく」と声を交わすけど、オッサン同士はけっしてしゃべらない。

そう、ここの来客はほとんどが男性ひとり、誰しも黙々とスポーツ新聞をながめながらコーヒーを味わってお店をあとにする。スポーツ新聞は各紙複数部置いてあり、すぐ近くには場外馬券売場、つまり馬券検討には格好の場。お店の名前が変わってもコーヒー1杯300円、ふわふわ厚切りトースト1枚50円はそのまま。これからもお世話になります。