「お前さあ。嫌われ者でいいんだろう。星の人たちにも、家族に対しても嫌われ者でいいんだろう」
「そういう役割りがいるんだからな」
「だったら、ただの我儘で帰りたくないでよくないか。何とでも思え、何とでも言え、でも、俺は帰らない、と、それで、なんて我儘なんだ、星のことは考えないのか、自分だけよければそれでいいのか、と、そう批難されるけど、それで嫌われるけど、嫌わていいんだろう。だったら、それでいいんじゃないかな」
ギャオスは気分が良いと首を伸ばす。この時、ギャオスの首はこれ以上ないというほど伸びていた。まるで自分の羽根を見下ろすかのようだった。そして、三角の頭を激しく上下させていた。ヘッドバンキングである。喜んでいるのだ。
「よし、それでいこう」
「そうだよ。どうせ、お前、地球人にだって、地球の地球外生物たちの間でだって嫌われ者なんだから、それでいいんだよ。嫌われ者を貫けばいいんだよ」
「え、俺、地球人にも嫌われてるのか。ガメラとか、本当のところは俺のこと、けっこう認めてくれてるんじゃなかったのか。俺、嫌われ者なのか」
ギャオスよ。言葉のはずみなのだ。本当は、映画の悪役であっても、お前は、けっこう地球で人気があるから大丈夫だ。お前のフィギュアも、今なお、けっこう売れているぐらいなのだから。
そのことをギャオスに告げると、ギャオスは嬉しそうに帰って行った。王様になるには、あまりにも単純かもしれない。しかし、やっぱりギャオスはいいヤツなのだ。
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